双子葉植物

双子葉植物について

双子葉植物（そうしようしょくぶつ）は、2枚の子葉を持つ種子植物のグループであり、その名の通り、この特性が名前の由来となっています。双子葉植物は、単子葉植物（1枚の子葉を持つ）とは異なる特性を持ちますが、大まかな特徴を挙げるのは難しく、多様な形態と生態を示します。

特徴

双子葉植物の一つの共通点として、葉の脈が網状である点や、維管束が環状に並ぶ真正中心柱を持つことが挙げられます。また、花の構造も非常に多様で、花弁、雄蕊、雌蕊の数や配置は、種によって様々です。一般的には、花の部位の個数が2または5の倍数であることが多いです。

進化の観点から見ると、この群は単子葉植物よりも早期の進化段階に位置していると考えられています。

系統関係

双子葉植物の系統については、数多くの説があります。その一つが新エングラー体系です。この体系では、ヤナギやドクダミのように、各花が雄蕊と雌蕊を一つずつ持つ原始的な形状から進化し、多様な形態を持つ花へと変化したと考えられています。

対照的に、クロンキスト体系では、モクレンのように多くの雄蕊と雌蕊が螺旋状に配置されることを原始的な形と定義し、そこから減少して現在の形へと変化したとされます。

1990年代以降のゲノム解析の進展により、双子葉植物の分類が見直され、単一の系統に絞り込むことができないと言われています。APG植物分類体系においては、双子葉植物は大別して真正双子葉植物（Eudicots）と原始的双子葉植物群に分かれ、被子植物全体はこの2つの単系統群と、少数の多系統の原始的双子葉植物群から成り立っていると説明されています。

真正双子葉植物であるユーディコッツ（Eudicots）は、トリコルパテス（Tricolpates）とも呼ばれ、三溝型花粉植物として知られ、他の種子植物よりも形態的に顕著な違いを持っています。

名称と分類

市販の植物図鑑などで使われることが多い分類名は、新エングラー体系に基づいた「Dicotyledoneae」ですが、1980年代以降はクロンキスト体系の「Magnoliopsida」が主流となっています。「Magnoliopsida」を訳してモクレン綱と呼ぶこともあります。

クロンキスト体系による双子葉植物綱の分類：

• - モクレン亜綱 Magnoliidae

- モクレン目 Magnoliales
- クスノキ目 Laurales
- コショウ目 Piperales
- ウマノスズクサ目 Aristolochiales
- シキミ目 Illiciales
- スイレン目 Nymphaeales
- キンポウゲ目 Ranunculales
- ケシ目 Papaverales

• - マンサク亜綱 Hamamelidae

- ヤマグルマ目 Trochodendrales
- マンサク目 Hamamelidales
- ユズリハ目 Daphniphyllales
- ディディメレス目 Didymelales
- トチュウ目 Eucommiales
- イラクサ目 Urticales
- レイトネリア目 Leitneriales
- クルミ目 Juglandales
- ヤマモモ目 Myricales
- ブナ目 Fagales
- モクマオウ目 Casuarinales

• - ナデシコ亜綱 Caryophyllidae
• - ビワモドキ亜綱 Dilleniidae
• - バラ亜綱 Rosidae

- バラ目 Rosales
- マメ目 Fabales
- ヤマモガシ目 Proteales
- カワゴケソウ目 Podostemales
- アリノトウグサ目 Haloragales
- フトモモ目 Myrtales
- ヒルギ目 Rhizophorales
- ミズキ目 Cornales
- ビャクダン目 Santalales
- ラフレシア目 Rafflesiales
- ニシキギ目 Celastrales
- トウダイグサ目 Euphorbiales
- クロウメモドキ目 Rhamnales

• - 他の分類体系との関連も存在します。

このように、双子葉植物は非常に多様であり、その進化や系統関係を理解するための多くの情報が詰まっています。

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