カケフくんのジャンプ天国スピード地獄

1988年 7月22日、ビック東海よりファミリーコンピュータ向けに発売されたアクションゲーム『カケフくんのジャンプ天国スピード地獄』。当時人気を博していた子役、カケフくんを主人公に据えた、一風変わったゲームとして知られています。北米では『Kid Kool』のタイトルでリリースされました。

ゲームの概要

本作は、プレイヤーがカケフくんを操作し、横スクロールで展開するアクションゲームです。タイトルにもある通り、ジャンプと高速移動がゲームプレイの中核を担っており、短い時間でステージをクリアすることが求められます。

ゲームの難易度は非常に高く、多くのプレイヤーを苦しめたことで有名です。特に、クリアタイムがゲームのエンディングに影響するという特徴は、緊張感と達成感を同時に味わえる要素となっています。3時間以内に全ステージをクリアしなければ、真のエンディングを見ることはできません。その高い難易度から、『ゲームセンターCX』で紹介された際にも、超難関ソフトとして取り上げられました。

ストーリー

舞台は架空のアフリカの小国、ポコニョッコリ王国。平和なこの国に、国王ポコニョッコリ5世の重病という危機が訪れます。国王を救うには、危険な「シビレタ連邦共和国」に生息する7つの薬草が必要不可欠です。しかし、平和な生活に慣れた国民たちは、その薬草を手に入れることができません。

そんな中、アフリカでロケをしていたカケフくんが搭乗する飛行機が墜落、ポコニョッコリ王国にたどり着きます。カケフくんは、王様と侍従長によって「勇者」として迎えられ、薬草集めの冒険に挑むことになります。王様の命は残り3日、カケフくんの挑戦が始まります。

ゲーム内容

本作は、タイムアタック要素が強いアクションゲームです。画面上部には常にプレイ時間が表示されており、プレイヤーは常に時間との闘いを強いられます。ゲーム内での1時間は、現実時間での1時間に相当します。時間経過とともに空の色が変化するなど、時間経過がゲームに影響を与える演出がなされています。

基本操作はダッシュとジャンプです。高速移動中のダッシュは、水面に突っ込むことで水面を跳ねる「水面ホップ」というアクションも可能にします。ジャンプは移動だけでなく、敵への攻撃にも使用できます。

道中には様々な敵や仕掛けが待ち受けています。一方で、ゲームを有利に進めるためのアイテムも存在します。特に、「ウィッキー君」という唯一の味方キャラクターは、敵への攻撃や防御に役立ちます。

穴や水中に落ちたり、ウィッキー君無しで敵に接触するとミスとなり、残機が減ります。残機が無くなるとゲームオーバーです。残機はアイテムやボーナスゲームで増やすことができます。ゲームのエンディングは、クリアタイムによって変化するマルチエンディング方式です。

ステージ構成

ゲームは7つのラウンド（エリア）で構成され、各ラウンドに3つのステージがあります。各ラウンドの最終ステージには、薬草を守るボスが待ち受けています。各ラウンドと薬草は、以下の通りです。

ラウンド1：ニョコポリ地方（ニョコポリ草）
ラウンド2：風穴山（風穴茸）
ラウンド3：エレジートンネル（エレジーフラワー）
ラウンド4：ビビンバ砂漠（ビビンバもどき）
ラウンド5：クラウドパラダイス（クラウンドコットン）
ラウンド6：パイポシティ（パイポポ）
ラウンド7：シビレタベース（シビレタハーブ）

登場人物

カケフくん: 本作の主人公。プレイヤーキャラクター。
ポコニョッコリ5世: ポコニョッコリ王国の国王。重病で、3日以内に薬草を服用しなければ命が危ない。
侍従長: ポコニョッコリ王国の侍従長。王様の相談役。
ウィッキー君: 本作唯一の味方キャラクター。カケフくんをサポートする。

スタッフ

プロデューサー：藤原明、曽我栄蔵
SFXスーパーバイザー：PETIT DEVIL SHOTARO（すずきしょうじ）
メイン・プログラマー：BIG HIT MACHIYA
タイトル・プログラマー：TOKIJIRO（河村知彦）
マップ・アーティスト：SANO YAN（佐野まゆみ）
マップ・プランナー：SUGI SAKU
キャラクター・デザイナー：PROFESSOR TOSHI（はせがわとしひさ）
音楽：蓮谷道治
レスポンシビリティー：BIGFOOT SHIJOH（四条いくお）
ディレクター：DARK SIDE TOSHI（はせがわとしひさ）

評価

『ファミコン通信』ではクロスレビューで21点、『ファミリーコンピュータMagazine』の読者投票では17.74点を獲得しました。ゲーム誌『仰天B級ゲームの逆襲』では、操作性の悪さやカケフくんの起用理由などが疑問視されています。

カケフくんのジャンプ天国 スピード地獄