カゴツルベ

カゴツルベ

『カゴツルベ』は、日本の堅固な伝承を基にした戯曲作品で、特に「籠釣瓶花街酔醒」という歌舞伎の演目に由来しています。この舞台は、少年社中に所属する毛利亘宏によって制作されました。

あらすじ

物語は、次郎左衛門という少年の運命から始まります。彼は生まれつき顔に大きなアザを持っており、その影響で周囲からは常に恐れられ、避けられてきました。次郎左衛門は、未来の希望を見出せない中、ある日、吉原へと連れて行かれることになります。そこでは、美しい女郎・八ツ橋と運命的な出会いが待っていました。

八ツ橋は、次郎左衛門のアザを受け入れ、その存在を全く気にしませんでした。次郎左衛門は彼女に一目惚れし、彼女へと金を注ぎ始めます。しかし、彼は次第に八ツ橋に利用されていることに気づくものの、その思いを止めることができず、結局、彼女を身請けしてしまいます。

ところが、次郎左衛門の過去からの影が再び現れます。それは、彼が幼少期に一緒に捨てられた妖刀・カゴツルベの化身であり、彼は次郎左衛門に「八ツ橋を斬るのか？」と挑発します。心の中で衝撃が走り、抑えきれない衝動に駆られた次郎左衛門は、刀を手に人々に向かって刀を振るうことになるのです。

次郎左衛門は、ついに八ツ橋のもとへ向かいます。最終的に、彼は八ツ橋の前で刀を振り下ろそうとするのですが、彼女は冷静に「さぁ、お斬りなさりまし」と告げます。次郎左衛門はその言葉に背中を押され、刀を持って彼女に向かい、力強く振り下ろてしまいます。しかし、そこに助けに駆けつけた下男・治六に「この刀で私を斬ってくれ…」と悲痛な声で頼む次郎左衛門。

雪が降る中、治六は涙を流しながら刀を振り下ろします。この瞬間、登場人物たちの運命が交錯し、それぞれの心の葛藤が一つの大きな物語として結びつくのです。

公演情報

この作品は、2008年と2009年の二度にわたって上演されました。

• - 2008年版：

- 期間：2008年1月9日〜1月14日
- 場所：吉祥寺シアター

• - 2009年版：

- 期間：2009年3月16日〜3月31日
- 場所：青山劇場、NHK大阪ホール（2009年4月16日～4月19日）

キャスト情報

2008年版

• - 堀池直毅
• - 井俣太良
• - 大竹えり
• - 岩田有民
• - 廿浦裕介
• - 森大
• - 加藤良子
• - 長谷川太郎
• - 杉山未央
• - 山川ありそ
• - 末冨綾
• - ゲスト：沢樹くるみ、佐藤仁志（30-DELUX）、蘭浜子

2009年版

• - 佐野次郎左衛門：安田章大（関ジャニ∞）
• - 花魁・八ッ橋：藤澤恵麻
• - 治六：風間俊介
• - 間夫の絵師・栄之丞：西岡徳馬
• - 文左衛門：岡田浩暉
• - 九重：松澤一之
• - すあま：舞風りら
• - お市：小松彩夏
• - お辰：鷲尾真知子

結び

『カゴツルベ』は、愛と運命、そして自らの内なる葛藤を描いた深い物語です。次郎左衛門と八ツ橋の物語は、見る者に強い印象を与え、演技や表現の美しさも相まって、多くの観客に愛されてきました。

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