カザナ・ナショナル

カザナ・ナショナル (Khazanah Nasional Berhad)

カザナ・ナショナルは、マレーシアの戦略的投資機関であり、同国の経済成長と国家目標の達成を支援するために設立された政府系ファンドです。1993年9月3日に公開有限会社（PLC）として設立され、その資本は全額マレーシア財務大臣によって保有されています。

組織と運営

カザナ・ナショナルの取締役会は、政府と民間セクターの両方から選出された代表者で構成されています。これにより、多様な視点と専門知識が意思決定プロセスに組み込まれています。会長は、マレーシアの首相が務めることが慣例となっており、2022年時点ではイスマイル・サブリ・ヤアコブ氏がその任に当たっていました。この体制は、政府の政策目標とファンドの運営戦略が密接に連携していることを示しています。

投資戦略と対象企業

カザナ・ナショナルは、マレーシア経済の多様なセクターにわたる幅広い企業に投資を行っています。その投資先は、自動車製造から金融、インフラ、通信、航空まで多岐にわたり、マレーシア経済の中核を担う企業が多く含まれています。

主な投資先企業とその出資比率は以下の通りです。

プロトン: 42.74% - マレーシアの国民車メーカー
宮津製作所: 9.12% - 精密機械メーカー
セメント・インダストリーズ・オブ・マレーシア (CIMA): 99.93% - マレーシアを代表するセメントメーカー
ACRホールディングス: 31.56% - 不動産開発および建設会社
ムアマラト銀行: 30% - イスラム金融機関
CIMBニアガ銀行 - 東南アジアを代表する金融グループ、CIMBグループの子会社
プラス・エクスプレスウェイズ: 23.66% - マレーシアの高速道路運営会社
UEMグループ: 100% - マレーシアの大手インフラ開発会社
テレコム・マレーシア: 41.78% - マレーシア最大の通信会社
DRB-ハイコム: 5.39% - マレーシアの複合企業
マレーシア・エアポート: 72.74% - マレーシア国内の空港運営会社
マレーシア航空: 17.33% → 100%（※非上場化）- マレーシアのフラッグキャリア。後に全株式を取得し非上場化。
テナガ・ナショナル: 37.81% - マレーシア最大の電力会社

これらの投資は、単に経済的な利益を追求するだけでなく、マレーシアの産業育成、雇用創出、技術革新を促進するという、より広範な国家目標を達成するための重要な手段となっています。

他の政府系ファンドとの比較

マレーシアには、カザナ・ナショナルの他に1MDB（ワン・マレーシア・デベロップメント・ベールハッド）という別の政府系ファンドも存在します。しかし、1MDBは大規模な不正疑惑が発覚し、国際的な批判を浴びました。カザナ・ナショナルは、このような事態を避けるため、透明性の高いガバナンスと厳格なリスク管理体制を構築しています。

まとめ

カザナ・ナショナルは、マレーシアの経済発展において重要な役割を果たしている政府系ファンドです。その多様な投資ポートフォリオと戦略的なアプローチは、マレーシアの経済成長を支える上で欠かせない要素となっています。今後も、カザナ・ナショナルはマレーシアの経済的繁栄に貢献していくことが期待されます。

外部リンク

カザナ・ナショナル （英語）

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