カシキアレ川

カシキアレ川：オリノコとアマゾンを結ぶ神秘の運河

カシキアレ川は、南米大陸を流れるオリノコ川上流から分岐し、ネグロ川へと流れ込む川です。特筆すべきは、この川がオリノコ川とアマゾン川という地球上で最も巨大な2つの大河を、自然の形で繋いでいる点にあります。まさに、他に類を見ないユニークな存在と言えるでしょう。

歴史

カシキアレ川の存在が初めて記録されたのは17世紀。しかし、その信憑性が確認されたのは18世紀になってからです。探検家や科学者たちがこの川を調査し、その特異な水路を目の当たりにしました。

1744年：イエズス会のロマン神父が、ネグロ川沿いの村落から来たポルトガル人奴隷商にカシキアレ川経由で出会い、その存在を知る。
1756年：スペインの境界線委員会がその存在を確認し、信憑性が高まる。
1800年：ドイツの科学者アレクサンダー・フォン・フンボルトとフランスの植物学者エメ・ボンプランが探検。

地理

カシキアレ川の標高は正確には分かっていませんが、水路学研究における最重要課題の一つとされています。旅行者の報告などから、標高は122mから274mの間と推測されています。

オリノコ川とネグロ川を結び、全長は約320km。
オリノコ川との分岐点での川幅は約90m。
ネグロ川との合流点での川幅は約500m。
* 流域は森林地帯で、ネグロ川流域よりも肥沃。

特徴

カシキアレ川は、一見すると穏やかな運河のように見えますが、実際には急流も多く、アマゾン川の支流であるネグロ川の支流と言えるほどです。流域には無数の昆虫が生息しており、その豊かな自然を物語っています。

また、洪水時には、Itiniviniという地点からネグロ川へ別の接続を行うという興味深い特徴も持っています。

Pimichinの地峡

カシキアレ川の西には、オリノコ川とアマゾン川を結ぶ、より短く容易な連絡路としてPimichinの地峡が存在します。この地峡は、オリノコ川の支流であるAtabapo川の支流Terni川を遡ることで到達できます。地峡の幅は約16kmで、カヌーを曳航して横断することで、ネグロ川へと到達できます。

生物圏保護区

カシキアレ川流域は、付近のオリノコ川上流部と共に、1993年にユネスコの生物圏保護区に指定されました。これは、この地域の生物多様性と生態系が、国際的に重要な価値を持つと認められたことを意味します。

カシキアレ川は、単なる川というだけでなく、自然の驚異と歴史的探求の舞台、そして生物多様性の宝庫という、多様な側面を持つ魅力的な存在です。その特異な存在は、私たちに自然の神秘と、それを探求する人間の探求心を教えてくれます。

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