カシミーロ・ゴメス・オルテガ

カシミーロ・ゴメス・オルテガ (1741-1818)

カシミーロ・ゴメス・オルテガは、スペインの医師、植物学者、薬学者として知られ、王立植物園の創設者としてその名を知られています。1741年3月4日にアニョベル・デ・タホで生まれた彼は、医学の道を歩むため、母方のおじの支援を受けつつマドリード、トレド、バルセロナで学びました。また、イタリアのボローニャ大学で医学と薬学の博士号を取得し、その後マドリードで薬剤師として活躍しました。彼の幅広い知識は、知識層のサークルに参加する過程で、外国の科学者との交流からも育まれました。

王立植物園の設立

オルテガが最も重要な業績の一つは、マドリード王立植物園の設立です。この計画は、フェルナンド6世の時代から存在していましたが、カルロス3世の統治のもとで1771年に実現します。オルテガは、王立植物園の初代教授に任命され、1781年には植物園が拡張される過程でも重要な役割を果たしました。彼の提案により、中南米への植物調査が行われ、多くの新種植物の発見へとつながりました。

植物学における貢献

オルテガは多くの新種植物を記載し、さらに国際的な文献の翻訳にも力を注ぎました。彼による翻訳には、リンネの『植物哲学』やロンドン薬局方、ジョン・バイロンの航海記、農業関連の著書などが含まれます。1790年には、新大陸に渡ったフランシスコ・エルナンデス・デ・トレドの資料を出版し、16世紀の植物学の知識を現代に伝えました。

学術と詩の成果

オルテガの活動は植物学に留まらず、詩作にも及びました。彼は国王カルロス3世の王位登板を祝う詩を作詩し、1776年にはイギリスを訪問、1777年には王立協会の会員に選ばれました。こうした業績によって、彼は植物学だけでなく、広範な知識を持つ学者としても認識されました。

影響と後世への足跡

オルテガの影響は、生涯を通じて培った植物学の知識と国際的な交流によって広がりました。チリに分布するゴモルテガ科の樹木に属するGomortegaという名前は、彼にちなむものであり、彼の業績は今なお評価されています。1801年、彼は園長を退職しましたが、その影響は現在も続いています。主な著作には、スペイン語で翻訳された『哲学的植物学』やバルセロナで発表された詩集などがあります。

オルテガは1818年8月30日にその生涯を閉じましたが、彼の貢献は植物学界において今も忘れられることはありません。彼の研究と文献は、後の世代の植物学者や医師に影響を与え、植物学という学問の発展に寄与していったのです。

もう一度検索