カジカ (魚)

カジカ（鰍）について

カジカは、スズキ目に属する淡水魚で、日本の多くの地域に分布しています。特にハゼ科の魚と共生することが多く、そのため地域によって「ゴリ」「ドンコ」とも呼ばれています。アイヌ語では「ナヌウェン」と称され、これは「醜い顔」という意味を持っています。カジカの体色は地域によって異なり、淡褐色から暗褐色までさまざまです。

カジカの分類と生息地

カジカは「カジカ種群」と呼ばれる複数のグループに分かれています。これらのグループは形態、遺伝的な特徴、生活史に違いがあります。主に知られている集団は、大卵型、中卵型、小卵型の3つに分類されます。学名はそれぞれ、カジカ大卵型が「Cottus pollux」、中卵型は現在学名が定まっていない「Cottus sp.」、小卵型は「Cottus reinii」とされています。

大卵型

大卵型のカジカは、本州のほぼ全域、四国、九州北西部で見られ、一生を淡水環境で過ごします。彼らの産卵期は2月から6月頃で、水深15cmから70cmの範囲の石の上に産卵します。

中卵型

中卵型のカジカは、北海道及び本州の日本海側の河川に生息しています。彼らは両側回遊性の生活を送り、受精卵は約2.2mmから3.2mmの直径を持ちます。主に流れの緩やかな砂礫質の川底を好みますが、ダムの建設が彼らの生息を脅かしています。

小卵型（ウツセミカジカ）

小卵型のカジカは、本州や四国の太平洋側の流入河川及び琵琶湖に生息しています。琵琶湖近辺の個体群は湖沼陸封性であり、受精卵の直径は1.8mmから3.1mmです。彼らは産卵期に琵琶湖を利用します。

生態

カジカの生息地は、上流域から中流域にかけて広がります。彼らは水生昆虫や底生生物、時にはアユなどの魚を食べて生きています。大卵型のカジカは清浄な水質を好み、イワナやヤマメと同じ環境に生息しています。オスは体長が7cm、メスが6cmを超えると性的成熟を迎え、卵は石に付着し、オスが孵化するまで守ることで繁殖を行います。

文化的利用と名の由来

カジカは、その見た目には反してとても美味しい魚として知られています。日本各地で汁物や味噌汁、鍋料理などで食用とされ、「ゴリ料理」など郷土料理にも用いられます。カジカの日本語名は「鰍」であり、中国語では「杜父魚」と表記されます。さらに、カジカは「石伏」や「霰魚」などの多くの別名を持ちます。

保護活動

カジカは環境省のレッドリストにおいて絶滅危惧IB類に指定されています。生息環境の破壊や水質汚染により個体数が減少しているため、捕獲禁止期間の設定や保護活動が行われています。放流に関する試みもなされていますが、定着率が低いとの報告もあります。これらを受け、持続的な保護活動が求められています。カジカの保護と復活には、地域の理解と協力が何より必要です。

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