カスティーリャ

カスティーリャ：スペインの歴史と文化を彩る地域

カスティーリャは、スペインの中心に位置する歴史的な地域名です。中世には強大なカスティーリャ王国の中核を成し、その影響は現代のスペインにも色濃く残っています。現在、地方行政区分としてのカスティーリャは存在しませんが、カスティーリャ・イ・レオン州とカスティーリャ＝ラ・マンチャ州という二つの自治州にその名を受け継いでいます。カスティーリャという名称は、スペイン語でCastillaと表記され、その表記には様々なバリエーションが存在します。

カスティーリャ王国の興隆

カスティーリャの名は、9世紀以降、レコンキスタ（国土回復運動）の最前線としてイスラム勢力に対抗して建てられた多くの城（カスティーリョ：castillo）に由来すると言われています。当初はブルゴスを中心としたカンタブリア南部を指していました。11世紀初頭、ナバラ王サンチョ3世によってカスティーリャ伯領が併合された後、その死後、領土分割を経てカスティーリャ王国が成立します。その後、レオン王国と同君連合となり、イベリア半島中部・南部への進出を続けました。15世紀末にはアラゴン王国との同君連合により、スペイン王国が成立、カスティーリャはスペイン統一の礎となりました。

旧カスティーリャと新カスティーリャ

カスティーリャは、伝統的に「旧カスティーリャ（カスティーリャ・ラ・ビエハ）」と「新カスティーリャ（Castilla la Nueva）」に分けられていました。旧カスティーリャは、10世紀にカスティーリャ伯領が置かれた地域を中心に、新カスティーリャは11世紀にアルフォンソ6世が征服したトレド王国領を指します。1833年の法令では、旧カスティーリャはサンタンデール（現カンタブリア州）、ブルゴス、ログローニョ（現ラ・リオハ州）など、新カスティーリャはシウダ・レアル、クエンカ、グアダラハラ、マドリード、トレドなどの県で構成されていました。しかし、1978年憲法による自治州制度導入後、旧カスティーリャとレオン地方は統合してカスティーリャ・イ・レオン州となり、カンタブリア州とラ・リオハ州が分離。一方、新カスティーリャはマドリード州とカスティーリャ＝ラ・マンチャ州に分割されました。このように、歴史的なカスティーリャの範囲は、現代の行政区分とは一致しません。

カスティーリャ語とスペイン語

現代スペイン語（español）のルーツは、カスティーリャ地方で話されていたロマンス語です。カスティーリャ王国の発展と、スペイン統一におけるカスティーリャ王権の主導的役割によって、カスティーリャ語はスペインの公用語となりました。しかし、スペインは多言語国家であり、カタルーニャ語、ガリシア語、バスク語などはそれぞれの地方で公用語として使用されています。カスティーリャ語は、しばしば「castellano」とも呼ばれ、南米の一部では「スペイン語」ではなく「カスティーリャ語」と呼ばれることも一般的です。

まとめ

カスティーリャは、スペインの歴史と文化を語る上で欠かせない重要な地域です。中世の王国から現代の自治州へとその姿を変えながらも、スペインのアイデンティティ形成に大きな役割を果たしてきました。その歴史的変遷と現代における位置づけを理解することは、スペインを深く理解する上で不可欠と言えるでしょう。カスティーリャの歴史は、スペインの歴史そのものと言えるかもしれません。

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