カスト (イタリア)

カスト（伊: Casto）は、イタリア共和国ロンバルディア州のブレシア県に属する、基礎自治体（コムーネ）です。およそ1,600人が暮らしています。

名称

標準イタリア語の名称はカスト（Casto）です。地元の言葉であるロンバルド語ブレシア方言では「Cast」と呼ばれています。また、このコムーネが位置するヴァッレ・サッビアという谷の名前を冠して、「カスト・ディ・バルサッビア（Casto di Valsabbia）」と表記されることもあります。

地理

カストはブレシア県のほぼ中央部に位置しており、特にヴァッレ・サッビアと呼ばれる渓谷の上流地域に属しています。地理的には、県都ブレシアからは北北東におよそ18キロメートル、ロンバルディア州の州都であるミラノからは東北東におよそ90キロメートル、さらに南チロルの主要都市であるトレントからは南西におよそ75キロメートルの距離に位置しています。

隣接するコムーネ

カストに隣接するコムーネは以下の通りです。

• - 北: ペルティカ・アルタ (Pertica Alta)
• - 北東: ムーラ (Mura)
• - 東: ヴェストーネ (Gavardo)
• - 南: ビオーネ (Bione)
• - 南西: ルメッツァーネ (Lumezzane)
• - 西: マルケーノ (Marcheno)
• - 北西: ロドリーノ (Rodolino)

地震リスク

イタリアの地震リスク分類において、カストはリスク階級3に分類されています。

歴史

カストの歴史は古く、古代から製鉄が営まれていました。特に中世には、その優れた鍛冶技術によって広く名を知られるようになります。1385年には、海上貿易国家として栄えたヴェネツィア共和国の領域に編入され、その支配下に入りました。

行政

カストには、いくつかの分離集落（フラツィオーネ）が含まれています。主な分離集落としては、アローネ（Alone）、アウロ（Auro）、ブリアーレ（Briale）、コメロ（Comero）、ファメア（Famea）、マルパガ（Malpaga）が挙げられます。

広域行政組織としては、ヴェストーネに事務所を置く「ヴァッレ・サッビア山岳部共同体（Comunità montana della Valle Sabbia）」を構成するコムーネの一つとなっています。

産業・経済

古代から続く金属加工の技術は、現代にも脈々と受け継がれています。カストは、ヴァッレ・サッビア地域における工業活動の中心地としての役割を担っており、伝統的な技術を生かした金属加工産業が経済の基盤となっています。

人物

カスト出身の著名な人物としては、16世紀のイエズス会宣教師であるニェッキ・ソルディ・オルガンティノ（Ignazio Organtino Soldi）が挙げられます。彼は日本の戦国時代末期に来日し、織田信長や豊臣秀吉らとも交流を持ちながら、キリスト教の布教活動に尽力しました。京都に南蛮寺を建立するなど、日本のキリシタン史において重要な足跡を残しています。カストは、この歴史的な宣教師の故郷としてもその名を知られています。

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