カセ鳥

カセ鳥祭りの魅力

山形県上山市で毎年2月11日に開催される「カセ鳥祭り」は、旧暦の小正月に行われる伝統的な行事です。この祭りは、商売繁盛や火伏せを祈願するために実施され、その名は「稼ぎ鳥」や「火勢鳥」に由来しています。地域の人々に根付いたこの行事は、長い歴史を持ち、現代でも多くの人々に親しまれています。

カセ鳥とは？

祭りが始まると、若者たちが「ケンダイ」と呼ばれる藁蓑を身にまとい、からかさ小僧を模した妖怪「カセ鳥」に姿を変えます。彼らは上山城前の焚き火を囲み、「カッカッカーのカッカッカー」と歌いながら楽しげに踊り回ります。このユニークな動きと歌は、祭りの中心的な要素であり、見物客や地域の人々を魅了します。

しかし、ここでの魅力はただの踊りだけではありません。町の住民はカセ鳥たちへ冷水を勢いよく浴びせます。この行為は、商売繁盛を祈る意味も込められており、厳寒の中で冷水を浴びながら踊り続ける姿は、見るものに印象深いものがあります。時には水が凍りつくという厳しい環境の中で、カセ鳥たちはエネルギーに満ちた演出を続けます。

歴史と復活の過程

上山地方でのカセ鳥祭りは、寛永年間から続いており、一度は1896年に途絶えました。しかし、地域の人々の努力によって1959年に復活し、その後『上山市民俗行事「加勢鳥」保存会』が1986年に設立され、今日まで続いています。特に2021年には新型コロナウイルスの影響により中止を余儀なくされたものの、翌年には縮小開催され、2023年には3年ぶりに盛大に行われたことで、地域の動く力を示しました。

民俗行事との共通点

また、日本全国で行われる小正月の風習に関連して、かつては他の地域でもカセ鳥のように蓑をかぶった者が家を訪れる風習があったとされています。秋田県の「なまはげ」のように、類似の行事も多く存在し、祭りに参加することは、地域社会の絆を強める良い機会となっています。このように、文化的にも歴史的にも意義が深いカセ鳥は、地域の独自性を感じられる祭りとして、多くの人々に愛されています。

伝えられる歌

踊りの合間には「カッカッカーのカッカッカー」という歌が繰り返され、賑やかな雰囲気を盛り上げます。この歌には「望の年の祝い」や「商売繁盛、万作だ」などの言葉が含まれており、参加者たちの心を一つにします。歌の内容は商売繁盛や五穀豊穣、火の用心を願うもので、地域に根付いた思いが込められています。

まとめ

カセ鳥祭りは、商売繁盛や火伏せを祈る意義だけでなく、地域のつながりや伝統、文化を再確認する機会です。寒い冬に行われるからこその厳しさや、歌声、踊りの楽しさが一体となったこの祭りは、上山市の魅力を余すことなく伝えてくれます。

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