カタパルト (投石機)

カタパルト（投石機）とは

カタパルトは、石などの投射物を敵の人馬や建築物に向けて発射する攻城兵器です。オナガーやトレビュシェットといった改良型も存在し、これらを総称してカタパルトと呼ぶこともあります。日本では、律令時代に「抛石（ほうせき）」と呼ばれていました。

概要

カタパルトは、木材や獣の腱、植物製の綱などの弾力と、テコの原理を応用して石などを飛ばします。大型のものでは射程が数百メートルに達しました。工兵や軍属によって運用され、戦場で即席に作られることが多かったため、構造は比較的簡便です。しかし、その基本的な構造は古代から近世までほとんど変わっていません。

カタパルトは、重い石を城壁の上部に向けて飛ばし、城壁を崩すために使用されました。また、石や砂利の詰まった袋を城門に投下したり、火のついた藁や火薬を投げ込んで火災を発生させたり、汚物や死骸を投擲して敵の士気を低下させたりするなどの目的にも利用されました。守城側からの攻撃を防ぐために装甲を施したり、攻城塔の上に設置されることもありました。野戦では、敵の密集隊形を崩すために使用されることもありました。投射に使用する石は、着弾後に跳弾してより広範囲に被害を与えるように球状に加工されていました。

歴史

カタパルトは、古代中国では紀元前5世紀初頭には使用されていました。ヨーロッパでは紀元前4世紀初頭にバリスタ式のものが開発され、アレクサンドロス大王の東征でも使用されました。中世には中央アジアや西アジアで改良が加えられ、オナガーやトレビュシェットへと進化しました。大型の火砲が登場した後も、安全性や威力の面からカタパルトは併用されました。

日本においては、律令時代に「抛石」と呼ばれ、訓練が行われていました。応仁の乱の際には、「発石木」や「飛砲」と呼ばれる投石機が使用された記録があります。時代が進み火砲が発達するとカタパルトは主流の兵器ではなくなりましたが、第一次世界大戦の塹壕戦では手榴弾を投擲するために使用されたり、第二次世界大戦末期の日本では対戦車戦用として爆薬を投射するために使用されたりしました。

カタパルトの種類

カタパルトには、主に以下の4つの方式があります。

人力投石: 人力でテコを操作して石を投げる方式。小型のトレビュシェットなどが該当します。
弾力投石: 動物の腱などをバネとして利用する方式。オナガーやマンゴネルがあります。移動可能で包囲攻撃に用いられ、曲射弾道が特徴です。
重力投石: 錘の落下エネルギーを利用する方式。トレビュシェットが代表的です。長射程ですが、大型で移動が困難です。
弩砲投石: 大型の弩（弓）を利用する方式。バリスタが該当します。短射程ですが、狙いやすく、城門や防衛兵器の破壊に利用されました。

関連項目

バリスタ (兵器)
オナガー (投石機)
雲梯 - 攻城塔
トレビュシェット - 攻城戦（破城槌）
カタパルト - 空母の艦載機の射出機。電磁式カタパルト、マスドライバー
ソートレル - フランス語でバッタを意味する手榴弾投射兵器
擲弾筒
投石
* ピッチングマシン

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