雲梯

雲梯（うんてい）とは

雲梯（うんてい）は、その用途によって異なる形態を持つ構造物です。ここでは、攻城兵器としての雲梯と、遊具としての雲梯について解説します。

攻城兵器としての雲梯

攻城兵器としての雲梯は、城壁を乗り越えて敵陣に突入するために用いられました。台車の上に折りたたみ式の梯子を搭載し、それを城壁に取り付けて兵士が侵入する、というものです。『戦国策』や『墨子』には、公輸盤（魯班）が開発したと記されています。

その内容は、梯子を改良した新型の城攻め兵器を開発し、宋を攻めようとした公輸盤に対し、墨子が戦争について論じ合ったというものです。墨子は模型を使い、楚王の前で公輸盤と勝負をしました。公輸盤は雲梯を使って9度攻めましたが、墨子の守りは固く、城を落とすことはできませんでした。これを見た楚王は、宋への侵略を断念したと伝えられています。

遊具としての雲梯

遊具としての雲梯は、金属パイプ製のはしごを横方向に、ほぼ水平に設置したものです。ぶら下がりながら手を伸ばして移動して遊びます。体力や腕力を養う遊具として、公園などによく設置されています。

ギネスブックに認定された世界最長の雲梯は、兵庫県神戸市のサンシャインワーフ神戸にあります。その全長は149.992mにも及びます。

かつて世界最長だった雲梯は、長野県木曽郡木祖村のやぶはら高原こだまの森にある全長100mの「スカイウォーカー」でした。1989年の設営当時は世界最長であり、ここでは遊戯者が何m連続で進めたかの記録認定を行っていました。2021年には800mの日本記録が誕生しています。

太鼓はしご

全体が水平ではなく、アーチ状になっている雲梯は「太鼓はしご」と呼ばれます。

安全性の問題

雲梯は、使い方によっては重大な事故につながる危険性も孕んでいます。窒息や転落による死亡事故事例や裁判例も存在するため、設置・管理においては、これらの事故への対策が不可欠です。

2017年4月には、香川県の保育所において、3歳の女児が雲梯の支柱とはしごの間にできたV字部分に首を挟まれた状態で発見され、救急搬送後、翌年1月に死亡するという痛ましい事故が発生しました。この事故を受け、雲梯の安全性に対する意識がより一層高まっています。

雲梯で安全に遊ぶためには、保護者や管理者が常に注意を払い、適切な指導を行うことが重要です。

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