カタンガ共和国

カタンガ国：独立と再統合の歴史

カタンガ国（フランス語: État du Katanga）は、1960年7月11日にモイーズ・チョンベがコンゴ共和国からの分離独立を宣言して成立した国家です。現在のコンゴ民主共和国のカタンガ州にあたります。

成立の背景

コンゴ共和国は、1960年6月30日にベルギー領コンゴとして独立しましたが、直後から国内は混乱しました。モイーズ・チョンベは、コンゴの収入の約50%を占めるカタンガ地域の分離独立を宣言し、パトリス・ルムンバ首相を共産主義の手先と見なして対立しました。また、ベルギー政府と密接な関係を持つ大企業やベルギー軍が、カタンガの独立を後援しました。

国際社会の反応

ルムンバ首相は国連に「緊急の軍事援助」を要請し、ベルギーの陰謀によって危機が引き起こされていると非難しました。国連はコンゴ国連軍（ONUC）を派遣しましたが、その任務についてルムンバと国連の間で意見の相違がありました。ルムンバはONUCの力を利用してカタンガを武力で征服したいと考えていましたが、国連は分離主義活動を国内問題と位置づけ、武力介入を禁止しました。

アメリカ合衆国は、当初カタンガをコンゴにおける最後の「反共の砦」と見なしていましたが、ケネディ政権はコンゴ中央政府を支持し、カタンガの分離活動を終結させるように政策を転換しました。

傭兵の関与

モイーズ・チョンベは、カタンガにおける自身の立場を強化するために、近隣諸国から多くの外国人傭兵を雇いました。傭兵はカタンガ軍に加わり、ONUCとの間で深刻な戦闘が発生しました。国連は傭兵兵士やベルギー人政治顧問を逮捕し、カタンガから追放する作戦を実行しました。

国連の介入とカタンガ国の消滅

国連は、1961年2月21日に採択された国連安保理決議第161号で、ONUCの部隊に武力行使を含むあらゆる措置を講じる可能性を認めました。1962年12月24日、カタンガ憲兵隊とONUCの衝突が発生し、ONUCはエリザベートヴィルを制圧しました。1963年1月21日、モイーズ・チョンベは敗北を認め、カタンガ国は消滅しました。

その後

カタンガはコンゴに再統合され、カタンガ州となりました。モイーズ・チョンベはその後、コンゴの首相を務めましたが、クーデターで失脚し、亡命先で死去しました。

カタンガ国の独立は、冷戦時代の国際政治、資源をめぐる争い、アフリカの民族問題などが複雑に絡み合った出来事でした。その短い歴史は、独立後のアフリカ諸国が直面した困難を象徴しています。

脚注

南カサイ鉱山国 - 同じくコンゴ動乱期に分離独立を宣言した国家。こちらもコンゴに再統合されました。
ビアフラ共和国 - ナイジェリアからの分離独立を宣言したイボ人の国家。ビアフラ戦争に敗れ、ナイジェリアに再統合されました。

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