カチョ

ボリビアの国民的サイコロゲーム「カチョ」：ルール、戦略、文化を徹底解説

ボリビアで広く愛されているサイコロゲーム「カチョ (cacho)」は、5個のサイコロとカップを使って行われる、白熱の点取りゲームです。2～6人でプレイし、出た目の組み合わせによって得点が変動します。単純なルールながら、戦略性と運の要素が絶妙に絡み合い、老若男女を問わず楽しまれています。

ゲームの準備と流れ

ゲームを始めるには、5個のサイコロ、カップ、点数を記録する紙と鉛筆を用意します。参加者は、サイコロを振る順番を決め、順番にゲームを進めていきます。各プレイヤーは、サイコロをカップに入れ、机の上で振ります。

役と得点

1投目で以下の役が出ると、高得点となります。

エスカレラ (escalera): 1,2,3,4,5 または 2,3,4,5,6 の連続した数字。30点 (1投目)。25点(2投目以降)。
フル (full): 3個のゾロ目と2個のゾロ目の組み合わせ。35点 (1投目)。30点(2投目以降)。
ポケル (poker): 4個のゾロ目。45点 (1投目)。40点(2投目以降)。
グランデ (grande): 5個全てが同じ数字。1投目で出ると、即座にゲーム終了となり、出したプレイヤーの勝利となります。2投目以降は50点。

1投目で役が出た場合は、役名の後に「デ・マノ (de mano)」をつけて呼びます(例: エスカレラ・デ・マノ)。グランデ・デ・マノは特別な役で、それまでの得点に関係なく、その場でゲームが終了します。

振り直しと得点計算

役が出なかった場合、またはより高い役を狙うために、プレイヤーは好きな数のサイコロをカップに戻して振り直すことができます。振り直しは最大2回まで可能です。2投目、3投目では、役の得点がそれぞれ5点ずつ減点されます。

役が出なかった場合は、同じ数字のサイコロが多いものを選び、その数字の個数と数字を掛け合わせた点数を獲得します。例えば、2,3,5,5,5 ならば 5 × 3 = 15点となります。必ずしも最も高い数字を選ぶ必要はありません。

ゲームの終了と勝利条件

各プレイヤーは10回ずつプレイします。ただし、既に獲得した役や数字は、2回目以降は獲得できません。例外はグランデ・デ・マノで、何度でも勝利条件となります。10回終了後、合計得点が多いプレイヤーが勝利者となります。10回全てで役または数字の得点が埋まるように、最終的には、0点として扱うか、獲得を諦める必要があります。

記録方法

ゲームの記録は、用意した紙に表を作成して行います。表には、「1の得点」から「6の得点」、「エスカレラ」、「フル」、「ポケル」の欄を作り、グランデの得点は別途記録します。役を獲得した場合は○印、0点とした場合は×印をつけることもあります。

バリエーションと隠語

カチョには地域差があり、様々なバリエーションが存在します。特に、サイコロの裏面を使うルールは一般的で、「裏面の使用可否」「裏面の枚数制限」など、ルールは多様です。裏面ルールを採用する際は、振り直しの回数を制限するケースもあります。グランデ獲得欄を増やす、ゲーム回数を増やすなどのバリエーションも存在します。

カチョ愛好家は、数字を独自の隠語で表現することがあります。1をアス(as)、2をトント(tonto)、3をトレン(tren)、4をクアドラ(cuadra)、5をキナ(quina)、6をセナ(cena)と呼ぶなど、独自の文化が根付いています。

カチョとボリビア文化

ボリビアでは、カチョは庶民的なゲームとして親しまれ、居酒屋などでは、カチョセットを提供する店も多いです。仲間と酒を酌み交わしながら、カチョを楽しむ様子は、ボリビアの夜を象徴する光景となっています。点数が少なかったプレイヤーが罰ゲームを受けるなど、盛り上がりを見せます。

まとめ

カチョは、シンプルなルールでありながら奥深く、戦略性と運の要素が絡み合う、魅力的なサイコロゲームです。ボリビアの文化と密接に結びついており、その独特の雰囲気やバリエーションも、カチョの魅力の一つと言えるでしょう。この解説を通して、カチョの世界をより深く知っていただければ幸いです。

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