カッシナの戦い

カッシナの戦い

カッシナの戦い（イタリア語：Battaglia di Cascina）は、14世紀中頃のイタリアにおいて、フィレンツェ共和国軍とピサ共和国軍の間で起こった戦闘です。この戦いは、ミケランジェロが未完の壁画の題材としたことでも知られています。日本語文献では「カッシーナの戦い」や「カスチーナの戦い」と表記されることもあります。

戦いの背景

1364年、フィレンツェ共和国軍は司令官の病気と、続く暑さのために、カッシナ（現在のカーシナ）で休息を取っていました。この時、ピサ共和国軍は、フィレンツェ軍の隙をついて攻撃を仕掛けました。不意を突かれたフィレンツェ軍でしたが、最終的にはピサ軍を撃退し、勝利を収めました。

ミケランジェロの未完の壁画

カッシナの戦いは、ミケランジェロがヴェッキオ宮殿の壁画として描くことになった題材としても非常に有名です。フィレンツェ共和国のピエロ・ソデリーニからの依頼で、ミケランジェロは壁画『カッシナの戦い』の下絵を完成させました。しかし、この壁画は実際に制作されることはありませんでした。ミケランジェロの下絵は、その優れた描写力から、後の多くの芸術家たちによって模写され、研究のための貴重な資料として扱われました。

しかし、それらの模写の過程で原本の下絵は徐々に消耗し、失われてしまいました。現在では、バスティアーノ（アリストーテレ）・ダ・サンガッロによる模写を通じて、ミケランジェロの原画の構図を偲ぶことができます。

影響と遺産

カッシナの戦いは、14世紀のイタリアにおける都市国家間の争いを象徴する出来事の一つです。ミケランジェロによる未完の壁画は、その後の芸術家たちに大きな影響を与え、戦いの様子や人間の力強さを表現する上で重要な役割を果たしました。戦いそのものだけでなく、ミケランジェロが残した下絵の存在が、後世に大きな遺産として語り継がれています。

参考文献

若桑みどり『フィレンツェ―世界の都市と物語』文藝春秋〈文春文庫〉、1999年4月。ISBN 978-4-1672-9102-0。

関連項目

アンギアーリの戦い
* アンギアーリの戦い (絵画)

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