カップ・アルコナ (客船)
カップ・アルコナ（Cap Arcona）について
カップ・アルコナは、1927年に進水したドイツのクルーズ客船で、総トン数27,500トンを誇り、当時の最も美しい船の一つとされていました。この船は、メクレンブルク＝フォアポンメルン州のリューゲン島のアルコナ岬にちなんで命名され、ハンブルク・南アメリカラインの旗艦としてハンブルクとブエノスアイレス間の航路で運航していました。その目的は、上流社会の旅行者や移民を南アメリカへ運ぶことでした。特に、旅行者だけでなく、steerage-classと呼ばれる最下等の客室を利用する移民も多く収容していました。
船の歴史と役割
1940年、第二次世界大戦が激化する中で、カップ・アルコナはドイツ海軍に接収され、バルト海のゴーテンハーフェンにて宿泊艦として使用されました。それに続いて、1942年にはナチス・ドイツ製作の映画『タイタニック』にも登場し、この際にはタイタニックの代役として撮影に利用されました。戦争が進む中で、1944年には東プロイセンからドイツ西部への避難民輸送に再利用されました。
沈没の経緯
1945年、ヨーロッパにおける戦争の終息が迫る中、スウェーデンの外交官フォルケ・ベルナドッテは、ドイツの収容所からデンマーク人やノルウェー人の収容者を中立国スウェーデンへ移送する計画を立てました。この計画は「白バス」として知られ、実際には他の国籍の人々も含まれていました。
1945年4月26日、カップ・アルコナはハンブルク近郊のノイエンガンメ強制収容所から多くの収容者を乗せ、二隻の小型船Athenおよびティールベクと共にリューベック湾へ向かいました。その後、4月30日にスウェーデンの船MagdalenaとLillie Matthiessenが収容者を乗せてリューベック湾を出発します。
しかし、運命は厳しく、1945年5月3日、カップ・アルコナはティールベクや病院船ドイッチュラントと共にイギリス軍機によって攻撃され、沈没します。この沈没により、7千から8千人もの収容者が犠牲となりました。犠牲者の中には、ロシア人やポーランド人捕虜が多く含まれ、他にもフランス、デンマーク、オランダなどから来た乗客もいました。
岸にたどり着いた生存者は、親衛隊による射殺の危険にさらされましたが、350人は何とか逃げ延びました。また、約490名の乗員や親衛隊員がドイツの船によって救助されました。
この悲劇は、第二次世界大戦中の悲しい歴史の一部であり、カップ・アルコナの沈没は多くの命を奪った出来事として記憶されています。
参考資料
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