カップ式コーヒー自動販売機

カップ式コーヒー自動販売機とは

カップ式コーヒー自動販売機は、ホットコーヒーをはじめとする様々な飲料をカップに注いで提供する自動販売機です。初期のモデルでは、粉末状や濃縮液状のコーヒーを温水で溶いて提供していましたが、現代的なモデルではドリップコーヒーや、モカ、ラテなど多様なスタイルに対応しています。中には、コーヒー豆を挽くグラインダーを内蔵し、注文ごとに一杯ずつ丁寧に抽出するタイプも存在します。さらに、水出しコーヒーを提供するなど、多様なニーズに応える進化を遂げています。

歴史

カップ式コーヒー自動販売機の歴史は、1947年にアメリカのラッド・メリキアン・カンパニーが開発した「クイックカフェ」に始まります。この機械は、紙コップにインスタントコーヒーと熱湯を注ぐシンプルなものでしたが、瞬く間にアメリカ全土に普及しました。その後、他社も追随し、コーヒー濃縮液を使用するモデルや、5セントでコーヒーを提供するものも登場しました。1955年には、アメリカ国内で6万台以上のコーヒー自販機が稼働していました。

日本では、1962年に新三菱重工業（当時）が国産初のカップ式インスタントコーヒー自販機を開発しました。1970年代初頭には6千台程度だった普及台数は、1972年には17,312台に増加し、三洋自動販売機や富士電機家電などの参入もあり、急速な発展を遂げました。2022年末には128,000台まで普及しましたが、近年は減少傾向にあります。レギュラーコーヒーのホット＆コールド自販機は、1974年に安立電気（現・アンリツ）がオランダのオルランド社から技術導入して開発したのが始まりです。その後、他社も生産を開始し、温冷切替機によってオールシーズンでの提供が可能になりました。

1975年には、日本コカ・コーラがホットとコールドの2通りで提供できるカップ式自販機を開発しました。同年、富士電機冷機（現・富士電機）が、製氷機で作った氷を使ってコールドコーヒーを提供する世界初のカップ式ホット＆コールドコーヒー自動販売機を開発しました。1980年には、同社が製造したコンビネーションカップ式ホット＆コールド自動販売機がその後のスタンダードとなりました。また、日本自動販売機オペレーター業界では、1981年6月に日本自動販売株式会社（現・株式会社アペックス）が初のホット＆コールド機を発表しています。近年では、AIカフェロボットが登場するなど、技術革新が続いています。

概要

カップ式コーヒー自販機は、有料でコーヒーを購入できるだけでなく、企業内では福利厚生の一環として無料で使用できるものもあります。有料の自販機は、コインや紙幣、交通系ICカード、スマートフォンアプリなど多様な支払い方法に対応しています。日本ではホットとアイスの両方を提供できる機種が普及しており、屋内に設置されていることが多いです。イタリアでは18種類のコーヒーを提供する自販機もあります。

設置にあたっては、かつては食品衛生法に基づく喫茶店営業の許可が必要でしたが、法改正により2021年6月以降は、屋内に設置される場合は、食品営業の届出制度（保健所への届出）に変わりました。ただし、屋外に設置する場合は、従来の許可制度の対象となります。

タッチスクリーン式コーヒーマシーン

近年、タッチスクリーン式のコーヒーマシーンが人気を集めています。ベラ、ボナマット、ラ・マルキーズなどが代表的で、顧客がより積極的に操作に関わることで、パーソナライズされたコーヒー体験を提供します。2009年には、ダウ・エグバードがコンセプトマシン「ビー・ムーブド」を発表しました。このマシンは、タッチスクリーンで材料を選択できるだけでなく、ニュース、天気予報、株価情報にアクセスできる機能や、人感センサービデオカメラで利用者の好みを学習する機能を備えています。また、ゲーム機能も搭載されており、利用者のエンターテイメント性も高めています。

まとめ

カップ式コーヒー自動販売機は、時代とともに進化を続け、人々の生活に欠かせない存在となっています。初期のシンプルな構造から、現代の多様な機能やタッチスクリーン操作まで、その発展は目覚ましいものです。今後も技術革新が進み、より便利で魅力的なコーヒー体験を提供してくれることでしょう。

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