カティプナン

カティプナンの概要

カティプナンは、19世紀のフィリピンにおいてスペインからの独立を求めて結成された秘密結社です。この組織は、アンドレス・ボニファシオの指導の下、国民的運動として成長し、多くのメンバーを抱えるようになりました。カティプナンの名前は、タガログ語の「カタアスタアーサン・カガランガランガン・カティプナン・ナン・マガ・アナック・ナン・バーヤン」の短縮形であり、直訳すると『母なる土地の息子たちと娘たちによるもっとも高貴にして敬愛されるべき会』という意味を持っています。特に「KKK」のシンボルマークで知られることも特徴です。

組織の成立と背景

カティプナンは、ホセ・リサールが関与した「ラ・リガ・フィリピナ」の主要メンバーが逮捕された後、ボニファシオによって設立されました。リサールの活動は非暴力的な改革を求めるものでしたが、彼の逮捕によりフィリピンは改革の道を失い、ボニファシオは武力による独立を選択しました。この背景には、スペイン政府の厳しい弾圧があったといえます。

カティプナンは、1896年にフィリピン独立革命を開始し、カビテ州やバタンガス州などタガログ地域に支部を広げていきました。この頃、リサールの死は、多くのカティプネロス（カティプナンのメンバー）にとって独立運動の象徴となり、彼らは「ホセ・リサール万歳！」と叫びながら戦闘に突入しました。

内部抗争と分裂

しかし、独立運動の過程でカティプナンは内部分裂を経験します。主要なグループには、ボニファシオに近いアルバレス将軍率いるマグディワン派と、エミリオ・アギナルド将軍の兄弟バルトロメオ率いるマグダロ派が存在しました。この対立は、テヘロス会議においてボニファシオが主導権を失ったことで更に深まりました。彼が学問的な知識に乏しいとされる中、アギナルドに取って代わられることになります。

結局、ボニファシオはアギナルドの指示で逮捕され、1897年に処刑される運命を辿ります。

カティプナンの運命とその後

1897年のビアクナバト協定で、アギナルドはスペインとの休戦協定を結び、香港へ亡命します。しかし、この和平協定は持続せず、フィリピンは再び混乱に見舞われました。アギナルドはその後アメリカ合衆国の支援を期待し、1898年6月12日に独立を宣言しましたが、パリ講和会議においてフィリピンがアメリカに2,000万ドルで譲渡されたことを知り、彼の期待は裏切られます。

この結果、アギナルドらはアメリカに対抗する独立闘争を開始し、フィリピン第一共和国の設立を宣言しますが、1901年にアギナルドが捕らえられることになります。以降、彼の呼びかけによりメンバーたちは降伏していきました。残る少数派は地下に潜伏し、抵抗を続けましたが、最終的にはアメリカに捕らえられ、1906年にはその幹部が処刑されるという運命を辿ります。

カティプナンの歴史はここに終わり、フィリピンの真の独立は1946年になるまで実現することはありませんでした。

主なメンバー

• - エミリオ・アギナルド
• - アンドレス・ボニファシオ
• - ゲルゴリア・デ・ヘスス
• - グレゴリオ・デル・ピラール
• - エミリオ・ハシント
• - マリアノ・ラネラ
• - アントニオ・ルナ
• - アポリナリオ・マビーニ
• - ミゲル・マルヴァル
• - アルテミオ・リカルテ
• - マカリオ・サカイ

フィリピンの歴史においてカティプナンは非常に重要な役割を果たし、国内外の様々な歴史的変遷に影響を与える存在となりました。

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