エミリオ・アギナルド

エミリオ・アギナルドの生涯と業績

エミリオ・アギナルド・イ・ファミイ（1869年3月22日 - 1964年2月6日）は、フィリピンの歴史における重要な革命者であり、フィリピン第一共和国の初代大統領である。彼の生涯は、植民地支配からの独立を求める闘争と、フィリピンの国のアイデンティティ確立に向けた努力によって彩られている。

前半生

アギナルドはスペイン領東インドのカウイトで、中国系メスティーソの弁護士で町長を務めた父カルロスと母トリニダードの間に生まれた。幼い頃に天然痘にかかりながらも生き延び、小学校を卒業。その後はサンファン・デ・ルトラン高校に進学するも、コレラ流行の影響で学校が閉鎖され、13歳で教育を終える。

若くして家庭を支えるために母親のビジネスを手伝い、次兄が病死すると、17歳でバランガイ首長を引き継ぐ。1895年には兄クリスプロの後を継いでカウイトの町長に就任し、同年にヒラリアと結婚した。

フィリピン独立革命への参加

フィリピンは長い間、スペインの植民地支配に苦しんでいた。1892年にはアンドレス・ボニファシオによって秘密結社「カティプナン」が設立され、この中にアギナルドも参加した。圧政に対抗するための武装蜂起は1896年8月23日に始まり、アギナルドは以後の戦闘においても重要な役割を果たした。

カヴィテでの勝利後、アギナルドは「ビアクナバト共和国」を樹立し、1897年にはスペインとの和平協定を締結、香港に亡命することとなる。彼は香港での生活を経て、1898年に米西戦争が勃発するのを機にフィリピンに戻り、アメリカの支援を受けて革命を再開した。

フィリピン第一共和国の設立

1898年6月12日、アギナルドはフィリピン独立を宣言し、その後、フィリピン第一共和国の大統領に就任した。この当時、アギナルドは積極的に国旗や国歌の制定にも関与し、国民の自覚を促進させた。

しかし、アメリカとの関係は悪化し、9月にはアメリカ合衆国への反発が強まり、フィリピン革命政府は新たな戦争に突入することになる。これが米比戦争であり、アギナルドはその先頭に立った。

米比戦争からの敗北

米比戦争では、アギナルドはアメリカ軍に対抗したが、フィリピン側の抵抗は尾羽打ち枯らし、彼自身も1901年にアメリカ軍に捕えられる。その後、アギナルドは釈放され、引退生活に入る。

晩年と遺産

アギナルドはその後、フィリピンの政治活動から遠ざかるが、第二次世界大戦中は再び政治の表舞台に現れることとなった。戦後は平和の象徴として名を残し、独立回復後に行われたフィリピン独立記念式典では、国旗を掲げた重要な瞬間を迎えた。

最後の晩年、アギナルドは日本の皇族を迎え入れ、歴史的な役割を再認識させるなど、その存在感は衰えを知らずにあった。1964年2月6日、94歳でこの世を去ったアギナルドの遺産は、今でもフィリピンの人々にとって特別な意味を持ち続けている。

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