カテラ

カテラ（Katerra Inc.）とは

カテラは、アメリカのカリフォルニア州に本社を置く、建設業界の変革を目指すスタートアップ企業です。フレクストロニクスやテスラなどの大手企業でCEOを歴任したマイケル・マークス、シルバーレイクのジム・デビッドソン、住宅会社ウルフ・カンパニーのフリッツ・H・ウルフという、様々な業界の専門家によって設立されました。CEOには、モトローラモビリティやグーグルでサプライチェーンを担当してきたマーク・ランドールが就任しています。

カテラの事業モデル

カテラは、従来の建設業界とは一線を画す、エンドツーエンドの垂直統合型ビジネスモデルを採用しています。設計から施工、部品調達、サプライチェーン・ロジスティクス、さらには顧客サービスまで、一連のプロセスを自社で完結させることで、製造現場のICT化を推進し、工期短縮やコスト削減、カーボンフットプリントの削減に取り組んでいます。

従来の建設ベンチャーは、建設会社から独立した技術者が開発した新材料や工法を売り物にするケースが多かったのに対し、カテラは建設業界外で活躍してきた幹部が多く、ICTを活用した生産性向上を強みとしています。建設業界では、コミュニケーション手段としていまだに電話や紙が主流であり、ICT導入が遅れている現状があります。これは、工事現場ごとに業務が異なり、ICTを導入するための標準化が難しいことや、多数の業者との情報共有に紙媒体が有効であることなどが理由として挙げられます。

カテラは、このような建設業界の課題に対し、ICTを活用して設計、材料調達、製造、物流、建築施工を垂直統合することで、効率化を図っています。BIM（Building Information Modeling）とサプライチェーンのERP（Enterprise Resource Planning）を組み合わせ、材料発注、製造、追跡、配送をシームレスに管理し、必要な資材や製品を最適なタイミングで現場に供給することで、建設現場での資材待ちによるロスをなくし、計画通りのプロセス遂行を実現しています。

製造プロセス

顧客から高齢者住宅や複数世帯住宅、ドミトリーなどの注文を受けると、カテラの子会社であるKaterra Architecture, LLCや提携するデザインコンソーシアムが最適なデザインを作成します。その後、アリゾナ州フェニックスの製造拠点で、トラス構造の屋根、床システム、外装パネル、内装壁パネルといった標準化されたCLT（Cross Laminated Timber）コンポーネントを製造し、建設現場に供給します。

カテラの沿革

2015年1月28日: カテラ設立
2016年3月29日: シリーズAラウンドで7,560万ドルを調達（Foxconn Technologyなど）
2017年4月13日: シリーズCラウンドで1億3,000万ドルを調達（Greenoaks Capital、Moore Capital Management、Khosla Ventures、DFJ、Foxconnなど）
2017年4月24日: United Renovations社と合併
2017年6月19日: Nystrom Olson社を買収
2017年7月31日: CLT耐力壁の評価試験に成功
2017年9月26日: ワシントン州スポケーンにCLT生産の新工場の開設計画を発表
2018年1月24日: シリーズDラウンドで8億6,500万ドルを調達（ソフトバンク・ビジョン・ファンド、Four Score Capitalなど）

関連情報

クロス・ラミネーティッド・ティンバー（CLT）: カテラの製造に使用されている、木材を積層して作られたパネル。
外部リンク: カテラ公式サイト (Katerra)

カテラは、建設業界のデジタルトランスフォーメーションを推進する革新的な企業として、今後の成長が期待されています。

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