カナダ国立美術館

カナダ国立美術館：カナダの美術と世界の巨匠が集う殿堂

カナダ国立美術館（National Gallery of Canada、Musée des beaux-arts du Canada）は、カナダの首都オタワに位置する美術館です。その特徴的なガラス張りの外観は、来館者の目をすぐに捉えます。1880年、カナダの総督ジョン・ダグラス・サザーランド・キャンベルによって設立された歴史ある美術館であり、カナダの美術史を語る上で欠かせない存在です。

歴史：移り変わる拠点と発展

設立当初は別の建物にありましたが、1882年には最高裁判所と同じ建物へと移転。その後、1911年には現在のカナダ自然博物館の建物へと移り、カナダの文化発展とともに歩んできました。現在の個性的な建物は、モントリオールのアビタ67の設計でも知られる建築家モシェ・サフディによるデザインで、1988年に移転が完了しました。1985年にはカナダ国立映像委員会と提携して、カナダ現代写真美術館が付属として設立され、美術館の活動範囲はさらに広がっていきました。

コレクション：カナダと世界の美術の融合

カナダ国立美術館のコレクションは多岐に渡り、絵画、素描、彫刻、写真など、実に様々な美術作品が所蔵されています。特に、現代美術の作品群は充実しており、アンディ・ウォーホルなど、世界的に有名な現代美術家の作品も数多く収蔵されています。

しかし、そのコレクションの中には、物議を醸した作品もあります。1990年に180万ドルで購入されたバーネット・ニューマンの“Voice of Fire”は、青い背景に赤い線が描かれているだけのシンプルな作品であり、高額な購入価格に対して賛否両論を巻き起こしました。このエピソードは、美術館の収集活動におけるリスクと、芸術作品に対する価値観の多様性を示す象徴的な出来事と言えるでしょう。

2005年には、彫刻家ルイーズ・ブルジョワの代表作である巨大なクモの彫刻「Maman」が美術館の正面に設置されました。この作品は、六本木ヒルズにも同じシリーズの作品が展示されていることでも知られ、カナダ国立美術館を象徴する存在となっています。

主要作品：巨匠たちの傑作が揃う

カナダ国立美術館には、ルネサンスから現代までの様々な時代の巨匠たちの作品が数多く展示されています。その一部を挙げると、

ピエロ・ディ・コジモの「ヴァルカンとアイオロス」
ハンス・バルドゥングの「エヴァ、蛇、死の姿のアダム」
クエンティン・マサイスの「キリストの哀悼」
ルーカス・クラナッハの「ヴィーナス」
レンブラント・ファン・レインの「化粧する女」
カナレットの「サン・マルコと時計台、ヴェネツィア」
ジャン・シメオン・シャルダンの「買い物帰りの女中」
ベンジャミン・ウエストの「ウォルフ将軍の死」
ターナーの「ヘルメスとアルゴス」
セザンヌの「ブファンの草原と農場」
モネの「ジャン＝ピエール・オシュデとミシェル・モネ」
ゴッホの「アイリス」
ピカソの「小さなテーブル」
マティスの「黄色いソファの上の裸婦」
ダリの「ガラとミレーの晩鐘」
ポロックの「No. 29」
* ウォーホル「ブリロ」
など、数えきれないほどの貴重な作品が所蔵されています。これらの作品は、西洋美術史における重要な位置を占めており、来館者に深い感動を与え続けています。

カナダの美術：独自の表現と豊かな伝統

カナダ国立美術館は、カナダの美術を積極的に収集・展示することで、カナダ独自の芸術文化の保存と発信にも貢献しています。カナダの芸術家たちの作品は、この国の豊かな歴史と文化を反映しており、カナダ国立美術館はそれらを未来へと繋ぐ重要な役割を担っています。

まとめ：カナダの文化を象徴する美術館

カナダ国立美術館は、その優れたコレクションと歴史的な意義から、カナダを代表する美術館として広く知られています。ガラス張りのモダンな建物と、古今東西の美術作品が調和した空間は、来館者に忘れられない体験を与えてくれるでしょう。オタワを訪れた際には、ぜひ足を運んで、その魅力を体感してみてください。

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