カナダ進歩保守党

カナダ進歩保守党とは

カナダ進歩保守党（Progressive Conservative Party of Canada）は、かつてカナダに存在した主要な政党の一つです。その歴史はカナダ建国間もない1867年に「自由保守党」として始まり、その後「保守党」を経て、1946年に「進歩保守党」と名称を改めました。政治的な立場は中道右派、あるいは保守主義と位置づけられます。

カナダ政治における役割と歴史

進歩保守党は、長きにわたりカナダ政治においてカナダ自由党と並ぶ二大政党の一角を占め、両党が交互に政権を担当するという時代を築いてきました。多くの首相を輩出し、カナダの発展に重要な役割を果たしました。創設期のジョン・A・マクドナルドはカナダ初代首相として知られ、リチャード・ベネットやジョン・ディーフェンベーカー、ジョー・クラーク、そして長期政権を担ったブライアン・マルルーニーなど、歴代の党首の中にはカナダの歴史に名を刻む政治家が数多くいます。

特にブライアン・マルルーニー率いる進歩保守党は、1980年代に圧倒的な強さを誇り、大型の自由貿易協定などを推進しました。しかし、その後の政権運営に対する国民の不満が高まります。

1993年の壊滅的な敗北

進歩保守党にとって決定的な転換点となったのが、1993年に行われた総選挙です。当時の党首は、カナダ初の女性首相となったキム・キャンベルでした。この選挙で、進歩保守党は改選前の169議席から、わずか2議席へと議席を激減させるという前例のない大敗を喫しました。先進国の主要政党が、わずか数議席にまで縮小するという事態は極めて異例であり、小選挙区制がもたらす影響を示す事例として、しばしば政治学の研究対象ともなります。

衰退と終焉

1993年の歴史的な敗北以降、進歩保守党は主要政党としての地位を失い、国会内では少数派となりました。1997年の総選挙では議席数を20議席まで回復させたものの、かつての勢いを取り戻すことはできませんでした。ジョー・クラークが再び党首を務めるなど党勢回復が試みられましたが、他の保守系政党の台頭もあり、政治的な影響力は限られたものとなりました。

こうした状況の中、カナダ国内の保守勢力結集の動きが強まります。そして2003年、進歩保守党は同じ保守系の政党であるカナダ同盟と合併し、新たに「カナダ保守党」（Conservative Party of Canada）を結成しました。これにより、130年以上の歴史を持つ進歩保守党はその活動を終えました。

ただし、この合併に同意しなかった一部の上院議員は、その後も進歩保守党として活動を継続しています。こうして、カナダ進歩保守党は公式には消滅しましたが、その政治的系譜は現在のカナダ保守党へと引き継がれています。その長い歴史は、カナダ政治のダイナミズムと政党政治の変遷を示す重要な一例と言えるでしょう。

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