カナダ銀行

カナダ銀行（Bank of Canada）

カナダ銀行は、カナダの中央銀行であり、カナダ経済の健全な発展を目的として設立されました。本部はオタワに位置しています。

歴史

20世紀初頭まで、カナダには中央銀行が存在せず、大手銀行が独自に貨幣を発行していました。モントリオール銀行が政府の銀行としての役割を担っていましたが、安定した銀行制度が確立されていたため、中央銀行の必要性は低いと考えられていました。

しかし、世界恐慌を契機に中央銀行設立の機運が高まります。不況を悪化させたと批判された銀行の政策への不満や、モントリオール銀行のライバル行であるカナダロイヤル銀行の働きかけもあり、1933年に王立委員会が招集され、中央銀行の発足が決定しました。

1935年3月11日、カナダ銀行法に基づきカナダ銀行が設立されました。当初は政府から独立した法人でしたが、1938年に政府直営の国営会社となり、総裁は内閣によって選ばれるようになりました。また、財務省から小額の銀行券の発行業務が移管され、1949年には市中銀行が独自に発行していた紙幣の回収が命じられました。

第二次世界大戦中、カナダ銀行はカナダ財政において重要な役割を果たし、戦後はカナダ経済の発展を促進する役割を担うことが義務付けられました。また、経済投資を促進するため、子会社として産業発展銀行（現BDC）が設立されました。

初期の金融政策は低金利と完全雇用を重視していましたが、1960年代にインフレが始まったため、ジェームズ・コイン総裁はマネーサプライを減らす政策をとりました。しかし、政府との対立により、一時的に危機を招き、コイン総裁は罷免されました。その後、徐々に反インフレ政策へと傾き、1980年代以降はインフレ抑制が最優先課題となっています。

役割

カナダ銀行の主な役割は、以下の通りです。

発券銀行: カナダ唯一の発券銀行として、カナダ銀行券の発行とカナダドルの管理を行います。
金融政策: 低く安定したインフレ、安全な通貨、金融安定を目標として、金融政策を立案・実行します。現在では、インフレ率を1%から3%の範囲に抑えることが義務付けられています。
政府の銀行: 政府の資金を管理し、公共債務を効率的に管理します。

1998年以降、カナダドルの為替交換レートに対する管理・介入はほとんど行われていません。

総裁

カナダ銀行の最高責任者は総裁と呼ばれ、銀行の理事会で選出されます。任期は7年で、政府によって解任されることはありません。総裁は政府から独立して金融政策を決定しますが、政府との協定に大きく反した場合、財務大臣は政策変更を書面で指示することができます。しかし、この権利が行使されたことは一度もありません。

歴代のカナダ銀行総裁は以下の通りです。

ティフ・マックレム（2020年〜）
スティーブン・ポロズ（2013年〜2020年）
[マーク・カーニー]
デイビット・A・ドッジ (2001-2008年)
ゴードン・ティーセン (1994-2001年)
ジョン・クロー (1987-1994年)
ジェラルド・ブーエ (1973-1987年)
ルイス・ラスミンスキー (1961-1973年)
ジェームズ・コイン (1955-1961年)
グラハム・タワーズ (1934-1954年)

関連項目

カナダドル
カナダ銀行法
イングランド銀行

外部リンク

* カナダ銀行公式サイト（英語）（フランス語）

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