カナリア (映画)

映画『カナリア』の概要

『カナリア』は、塩田明彦監督・脚本による2004年の日本映画です。この作品は、オウム真理教の事件をモチーフにしたドラマであり、2004年11月20日に第5回東京フィルメックスのオープニング作品として上映され、2005年3月12日に一般公開されました。

あらすじ

映画の中心となるのは、母親が過去にカルト組織「ニルヴァーナ」に関与していた少年、光一です。彼は子供の頃に母と妹と共にその組織の施設に住んでいましたが、児童相談所に移されることになりました。母は戻ることなく、妹は祖父に引き取られ、光一は一人だけが取り残された形です。

光一は、妹と再会し、共に母を探し出すことを目指して東京へ向かう旅に出ます。彼の旅の途中に出会ったのが、新名由希という少女です。由希は援助交際を行っているにもかかわらず、率直な性格で、家庭環境に恵まれずに苦しんでいます。この二人の出会いが、物語の重要な要素となるのです。

キャストとキャラクター

• - 光一（演：石田法嗣）: 12歳の少年で、元カルト信者。失踪した母と妹を探し、東京を目指して旅をします。彼の心には、組織から受けたマインド・コントロールの影響が色濃く残っており、周囲の人々に反抗的な態度を見せることがある。

• - 新名由希（演：谷村美月）: 由希もまた12歳で、家庭環境に恵まれません。母を亡くした後、父からは暴力を受けており、彼女の人生もまた厳しいものです。光一との出会いをきっかけに、彼の旅に同行します。

• - 伊沢彰（演：西島秀俊）: カルト元信者で、光一に組織についてのアドバイスをする重要なキャラクター。

• - 岩瀬道子（演：甲田益也子）: 光一と朝子の母親で、ニルヴァーナに入信した経緯やその後の行動が物語に深く関わります。

スタッフ

本作品は多くの才能あるスタッフによって支えられています。監督・脚本は塩田明彦が手がけ、撮影は山崎裕が担当しました。音楽は大友良英が担当し、エンディングテーマには向井秀徳の「自問自答『カナリア』ミックス」が使用されています。

受賞歴

『カナリア』は、その独自の視点と人間ドラマが評価され、数々の映画賞を受賞しています。第13回レインダンス映画祭ではグランプリを受賞し、また第60回毎日映画コンクールでスポーツニッポン新人賞を獲得するなどの功績も残しました。

まとめ

『カナリア』は、カルト集団に翻弄されながらも母と妹を探し求める少年の成長物語として、多くの観客に感動を与えました。特に主人公たちの演技や、社会問題に対する鋭い視点が光る作品です。映画を通じて、私たちは家族、信頼、そして真実の意味について考えさせられます。

もう一度検索