カニステル

カニステル（学名:Pouteria campechiana）は、アカテツ科に属する常緑樹であり、その果実を指す名称でもあります。原産地はメキシコから中央アメリカにかけての地域です。この木は、約10メートルほどの高さまで成長する小高木で、緑白色の花を咲かせ、長さ7センチメートルほどの黄色がかったオレンジ色の果実を実らせます。果実は食用として利用され、「エッグフルーツ」や「クダモノタマゴ」とも呼ばれています。

特徴

カニステルの特徴は、その独特な果実の性質にあります。果実は甘く、粉質で水分が少ないため、ゆで卵の黄身や蒸し芋のような、ほくほくとした食感が特徴です。しかし、一般的なフルーツのような芳香や酸味、ジューシーさはなく、食べると口の中の水分を吸い取るため、喉が渇くことがあります。また、完熟の見極めが非常に難しく、未熟なものは非常に不味であるとされています。完熟した状態になると、果皮にマダラ模様の黒いシミが浮き出て、果皮が弾けるようになります。

味のばらつきが大きいことも、カニステルの特徴の一つです。数個に1個、または数十個に1個程度しか当たりの果実がないと言われるほどで、その味が安定しないため、栽培されていても市場に出回ることが少ないマイナーな果実となっています。特に日本では、沖縄県で栽培されているものの、ほとんど市場に出回ることはありません。かつては、味のばらつきから「蟹捨てる」「金捨てる」などと、農家の間で揶揄を込めた駄洒落で呼ばれることもありました。

栽培地域

原産地であるメキシコや中央アメリカだけでなく、ブラジル、台湾、ベトナム、そして日本の沖縄県などでも栽培されています。しかし、これらの地域でも広く市場に流通しているわけではなく、その珍しさから一部でしか見られない果実となっています。特に沖縄では、栽培しているものの、その味の不安定さから、長らく売り物にならなかったという歴史もあります。

その他

台風のアジア名の一つである「レキマー」は、カニステルのベトナム名に由来しています。これは、カニステルの地域における文化的側面を示す一例と言えるでしょう。

出典・外部リンク

カニステル、エッグフルーツ、クダモノタマゴ - ウェイバックマシン（2006年4月22日アーカイブ分）

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