カノー

株式会社カノー

株式会社カノーは、大阪府大阪市鶴見区に本社を置く日本の小売企業です。主に大阪府を中心とした京阪神エリアにおいて、食品スーパーマーケット「食品館アプロ」の運営を手掛けています。創業者は嘉納利文氏です。

屋号の変遷

同社の店舗を識別する屋号は、時代とともに変化を遂げてきました。1990年代には、店舗全体のカラーやイメージの統一を目指し、従来の名称（例：「スーパーカノー」などがあったと推測される）から「食品館アプルーバル」へと変更が行われました。この「アプルーバル（Approval）」という言葉は、創業者の名字である「嘉納」に込められた「意見を聞き入れる」という意味を、当時の辞書で英訳したことに由来するとされています。この新屋号は、改装された店舗や新たに開店した店舗で採用されました。特に「食品館アプルーバル」の2号店としてオープンした法善寺店（現在は閉店）では、同社にとって念願であった100%直営での運営が実現しました。

「食品館アプルーバル」として5店舗を展開した後、より顧客にとって呼びやすく、親しみやすい名称とするため、「Approval」の部分を省略した「食品館アプロ（Appro.）」の屋号での店舗展開が本格化しました。過去には「フレッシュ」や「食品館」といった異なる屋号が存在した時期もあります。

2016年（平成28年）9月、株式会社カノー設立50周年を機に、展開する複数の屋号全体を指す総称として「アプロ・グループ」という呼称が用いられるようになりました。そして、2018年（平成30年）5月には、さらなるブランド統一を図るため、展開する全店舗の屋号を正式に「食品館アプロ」に統一しています。

また、2021年からは、毎日低価格（Everyday Low Price, EDLP）をコンセプトとした新業態店舗「アプロプラス」の展開を開始しました。その1号店である友井店がリニューアルオープンし、2025年2月時点では、友井店のほか門真店、箕面店、寝屋川店、忠岡店、古川橋店の合計6店舗が「アプロプラス」として営業しています。

沿革

株式会社カノーの歴史は、1953年（昭和28年）に遡ります。この年に、創業者である嘉納利文氏が大阪市城東区の市場内で菓子小売業「嘉納商店」を創業しました。その後、事業を発展させ、1967年（昭和42年）には法人組織である株式会社カノーが設立されました。

1970年（昭和45年）には、現在本社が置かれている大阪市鶴見区浜の住所に本社を移転し、同時に菓子卸部門を開設しました。スーパーマーケット事業への進出は、1979年（昭和54年）に大阪市鶴見区にスーパー1号店「サンツルミ」を開店したことから始まります。

経営の効率化も進められ、1990年（平成2年）にはPOSシステムが導入されました。スーパーの名称が現在の「食品館アプロ」とされたのは1996年（平成8年）のことで、同年9月にはEDIシステムも導入されています。

物流体制については、2003年（平成15年）10月に摂津市鳥飼で共同配送センターが稼働を開始し、2008年（平成20年）10月には吹田市岸辺に新たな物流センターが移転・稼働しています。商品の鮮度管理を強化するため、2019年（令和元年）10月には大阪市鶴見区に生鮮センターが稼働を開始しました。

顧客サービス向上も図られており、2014年（平成26年）2月にはネットチラシの導入、2016年（平成28年）10月には一部店舗でのクレジットカード決済の導入が進められました。特に決済方法の多様化は積極的に行われ、2019年（平成31年）3月には独自の電子マネー「KAONA（カオナ）」を一部店舗に導入。さらに、2021年（令和3年）10月から一部店舗でQRコード決済の導入を開始し、2023年（令和5年）1月には全店舗でのコード決済導入が完了しています。

また、設立周年などの節目には記念セールが開催されており、2011年（平成23年）7月には45周年、2016年（平成28年）9月から2017年12月にかけては50周年の記念セールが実施されました。

店舗展開

株式会社カノーが運営する「食品館アプロ」は、主に京阪神エリアに店舗を展開しています。2025年5月現在の店舗数は合計53店舗です。その内訳は、最も店舗数の多い大阪府内に48店舗（大阪市内20店舗、南部地域10店舗、東部地域9店舗、北摂地域9店舗）、兵庫県内に4店舗（尼崎市に2店舗、神戸市に2店舗）、そして京都府内に1店舗（宇治市）となっています。これらの現行店舗については、同社の公式ウェブサイトなどで店舗一覧が公開されています。

過去には、既に閉店した店舗も複数存在します。例えば、毛馬店（2017年12月閉店）、初芝店（2018年2月閉店）、平野店（2019年3月閉店）、堺店（2020年1月閉店）、はじの里店（2021年5月閉店）、つるまち店（2022年3月閉店）、夕陽丘店（2023年3月閉店）、上新庄店（2023年5月閉店）、西宮今津店（2024年1月閉店）、松ノ浜店（2024年5月閉店）などがあります。屋号変更以前の「食品館アプルーバル法善寺店」（1995年開店）も、かつて存在した店舗の一つです。

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