カバレッタ

カバレッタ (Cabaletta)

カバレッタは、オペラにおける歌曲の一種であり、特に19世紀のイタリア・オペラで発展したアリアや二重唱の形式（カンタービレ＝カバレッタ）の終盤に歌われる部分を指します。その特徴は、通常、速く、そして華やかな音楽であることです。

オペラの中でカバレッタが単独で歌われることは稀で、多くの場合、緩徐で叙情的なカンタービレと組み合わせて演奏されます。また、幕の最後を飾る曲として用いられることもあります。

由来

「カバレッタ」という言葉の語源は定かではありませんが、おそらくスペイン語に由来すると考えられています。1826年の辞典に初めてその記述が見られます。有力な説としては、馬を意味する言葉（イタリア語の「cavallo」、スペイン語の「caballo」）との関連が指摘されています。これは、伴奏の動きがまるで馬のギャロップを連想させることに由来するのかもしれません。

概要

19世紀のイタリア・オペラでは、緩やかで叙情的な「カンタービレ」と、速く輝かしい「カバレッタ」という、対照的な2つの部分から構成されるアリア形式が発展しました。カバレッタは、管弦楽によるリトルネッロを挟んで繰り返されるのが一般的で、歌手は繰り返し部分において、即興的な装飾を加えることが期待されていました。カバレッタの終結部には、管弦楽によるコーダが置かれ、観客からの喝采を誘いました。現代では、カンタービレ部分を「カヴァティーナ」と呼ぶことがありますが、19世紀当時にカヴァティーナという言葉が用いられた例はありません。

この形式はさらに発展し、カンタービレの前に「シェーナ」と呼ばれるレチタティーヴォ的な部分が追加されました。カンタービレの最後にはカデンツァが置かれ、その後に「テンポ・ディ・メッゾ」と呼ばれる管弦楽装飾を伴う短い部分が続き、そこからカバレッタへと移行する、という構成が確立されました。この形式は、19世紀前半のロッシーニ、ベッリーニ、ドニゼッティといった作曲家や、同時代の作曲家（1850年代までのヴェルディを含む）によって、頻繁に用いられました。

しかし、1860年代に入ると、アリアにおけるカバレッタは徐々に衰退し、1870年頃にはほぼ姿を消しました。ただし、二重唱の最後に歌われるカバレッタ部分は、その後も比較的長く生き残り、晩年のヴェルディの作品である『オテロ』(1887)第2幕の最後に歌われる「そうだ、私は誓う」などが、その例として挙げられます。

著名なカバレッタの例

ベッリーニ『夢遊病の女』(1831)最終曲「私が浸っているこの喜び」
ヴェルディ『椿姫』(1853)第1幕「花から花へ」
* ヴェルディ『イル・トロヴァトーレ』(1853)第3幕「見よ、恐ろしい炎を」

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