カプリル酸

カプリル酸（caprylic acid）は、オクタン酸とも呼ばれる、炭素数が8個の直鎖状脂肪酸です。自然界ではココナッツや母乳などに存在し、常温常圧ではわずかに不快な臭いを持つ油状の液体として存在します。水にはほとんど溶けません。

工業利用

工業的には、香料エステルを合成したり、染料を製造する際に利用されています。

生理作用と応用

カプリル酸は抗菌作用があり、カンジダ症の治療に用いられることがあります。栄養学者のエリカ・ホワイトによれば、カプリル酸は腸内のカンジダ菌への対策として効果的です。カンジダ菌は腸内でコロニーを形成しやすいのですが、長鎖脂肪酸の存在下では細胞膜組織への侵入が抑制されます。そのため、栄養学者はカンジダ症の患者に対し、まずカプリル酸を推奨し、その後、クローブ油やオレガノ油などの植物油へと移行させることがあります。これらの植物油には、より短い鎖長の脂肪酸が含まれており、筋肉、関節、洞といった組織へ浸透しやすいという特徴があります。

また、カプリル酸はバクテリア感染症の治療にも応用されます。

さらに、カプリル酸は、胃で生成されるペプチドホルモンであるグレリンの活性化にも関与しています。グレリンの3番目のアミノ酸残基であるセリンに結合し、そのヒドロキシ基をアシル化することで、グレリンを活性化させます。活性化されたグレリンは、視床下部の摂食中枢に作用し、空腹感を促進します。他の脂肪酸にも同様の効果があると考えられています。

カプリル酸を多く含む食品

カプリル酸は、以下の食品に多く含まれています。

ココナッツオイル
バター

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