カホオラウェ島

カホオラウェ島：歴史と自然が織りなす島

カホオラウェ島は、マウイ島の沖合に位置するハワイ諸島の島です。面積は約116平方キロメートルと、ハワイ主要8島の中で最も小さい島です。その歴史は古く、900年ほど前からハワイ人が居住していましたが、乾燥した気候のため、農業は困難を極めました。

統一ハワイ王朝時代には、度重なる戦乱により土地が荒廃し、ほぼ無人島と化しました。その後、カメハメハ3世によって流刑地として使用されるという暗い時代も経験しました。

20世紀に入ると、ハワイ自治政府は森林保護区として島の自然回復を試みましたが、アメリカ人資本家に貸与され牧場に転用。しかし、干ばつの影響で牧場も撤退を余儀なくされました。太平洋戦争の勃発により、カホオラウェ島は米軍に接収され、上陸作戦や戦闘爆撃機による対地攻撃の演習地として利用されました。1965年には、TNT500トン相当の模擬核実験（セーラーハット作戦）まで行われています。

1976年、先住ハワイアンたちは島の返還を求め運動を開始。その結果、1991年に米軍の演習は終了し、1993年に島はハワイ州政府に返還されました。ハワイ州政府はカホオラウェ島保護区委員会（KIRC）を設立し、1995年12月には「先住ハワイアンの文化的、精神的、自給自足活動目的のみに使用される」という合意がKIRCでなされ、一切の営利活動が禁止されました。

現在も、カホオラウェ島では演習の残骸除去と植生回復活動が続けられています。不発弾の存在など課題は残りますが、先住ハワイアンの活動家たちは島に居住し、文化継承と環境保護に尽力しています。

航海術との深い関わり

近年、郷土史研究家たちの研究により、カホオラウェ島には航海カヌーを操る航法師たちの訓練施設があった可能性が指摘されています。ラナイ島とカホオラウェ島の間の海峡は「タヒチへの途（ケアライカヒキ）」と呼ばれ、1977年にはホクレア号による実験航海も行われました。

2004年10月、伝統的な航海術（スター・ナヴィゲーション）の礎を築いたミクロネシア連邦の航海者、マウ・ピアイルックは教え子たちをカホオラウェ島に集め、ハワイ諸島から遠洋航海に出発する際には、必ずこの島で先祖に祈りを捧げるよう教えました。

2007年に日本まで航海したオアフ島の航海カヌー「ホクレア」のクルー、アトウッド・マカナニは現在、カホオラウェ島に住み、環境回復活動に従事しています。

ツアモツ諸島の石斧が語る古代の航海

科学雑誌「サイエンス」に掲載された論文によると、ツアモツ諸島で発見された古代の石斧の少なくとも一つは、カホオラウェ島の西側、ケアライカヒキ海峡に面した地域の火成岩でできているとのことです。これは、古代にはタヒチやマルケサス諸島からハワイへの航海だけでなく、ハワイ諸島から仏領ポリネシアへの航海も行われていた証拠であり、カホオラウェ島とタヒチ航路の密接な関係を示唆しています。

カホオラウェ島は、その小さな面積の中に、豊かな自然、激動の歴史、そして古代ポリネシア人の航海術との深いつながりを秘めた、魅力的な島です。過去の過ちを乗り越え、先住ハワイアンの文化と精神を尊重しながら、自然との共生を目指す人々の努力が、この島の未来を照らしています。

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