航海カヌー

航海カヌー：太平洋の伝統的航海術

航海カヌー（Voyaging Canoe, Vaka Moana, Waka Houlua）は、太平洋地域で古くから用いられてきた遠洋航海用の船舶の総称です。明確な定義は存在しませんが、一般的には西洋による植民地化以前の太平洋諸島で用いられていた、外洋航海を可能とする大型のカヌーを指します。

構造と多様性

航海カヌーの船体構造は、多くが準構造船に分類されます。その形状や構造には、地域や用途によって多様性が見られます。

シングル・アウトリガーカヌー: メラネシアのトロブリアンド諸島におけるクラ交易や、ミクロネシアのカロリン諸島におけるサウェイ貿易で使用されたものが代表的です。これらのカヌーは、片側にアウトリガー（浮き）を備え、安定性を高めています。
ダブルカヌー: ポリネシア地域で発展した航海カヌーで、交易や植民などの目的で使用されました。2つの船体を並列に結合した構造を持ち、高い安定性と積載能力を誇ります。

ポリネシアのダブルカヌーの復興

ポリネシアのダブルカヌーは、近代に入って建造が途絶えていましたが、1975年にハワイで「ホクレア」が建造されたことをきっかけに、再び注目を集めるようになりました。ホクレアの成功は、各地でダブルカヌーの建造を再開させる大きな原動力となりました。

特徴

航海カヌーは、一般的なカヌーと比較して非常に大型です。数名から20名近い乗組員を乗せ、一週間から一ヶ月強の外洋航海をこなすことが可能です。帆走によって推進力を得て、広大な太平洋を横断してきました。

航海カヌーの意義

航海カヌーは単なる移動手段ではなく、太平洋の島々の文化や歴史を深く結びつける重要な要素です。その建造技術や航海術は、先祖から受け継がれてきた貴重な遺産であり、現代においても多くの人々に影響を与えています。

関連項目

* 大内青琥：航海カヌーに関する研究者

航海カヌーは、単なる「カヌー」という言葉だけでは表現できない、太平洋の人々の知恵と勇気の象徴です。その歴史と技術は、今もなお多くの人々を魅了し続けています。

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