カラフトマス

カラフトマスについて

カラフトマス（樺太鱒）は、学名Oncorhynchus gorbuschaで、西洋ではピンクサーモンやハンプバックサーモンとも呼ばれています。この魚はサケ科に属し、主に北太平洋地域で広く生息しています。日本では地方名として、アオマスやセッパリマスなどが使用されています。また、北海道の特定の地域ではオホーツクサーモンという名前でも知られています。

分布と繁殖

カラフトマスは北太平洋やベーリング海、オホーツク海、日本海、さらには北海道や岩手県まで分布しています。全長は通常40-60センチメートルと小型で、サケ属としては比較的また独特の特徴を持っています。特に注目すべきは、繁殖期になると雄の背中が突起状に変わることから「セッパリマス」とも呼ばれている点です。

回帰性が比較的弱いカラフトマスは、生まれた川に戻り産卵することが基本的な行動ですが、しばしば異なる川に遡上することもあります。日本での遡上の南限は、太平洋側で岩手県、日本海側では新潟以北と記録されています。主にオホーツク海や根室海峡に流入する河川に遡上し、7月から遡上が始まります。産卵は8月から10月にかけて行われ、産卵後の生命活動は終了します。

孵化した稚魚は餌をあまり捕食せず、翌年の春に降海します。調査によると、産卵床は水深6-36センチメートル、流速の速い場所を好む傾向があります。

漁業と利用

カラフトマスの漁業は、かつてオホーツク海やベーリング海で行われていた北洋漁業が主流でしたが、現在では主に沿岸定置網や河川での捕獲が行われています。漁獲期は夏から冬にかけてあり、日本での漁獲量はサケに次ぐ規模です。特に北海道東部のオホーツク海沿岸が国内最大の水揚げ地で、7月から8月の2か月間で多くが水揚げされます。

食用と加工

カラフトマスの肉は柔らかく、脂肪分が豊富です。そのため、焼き物やルイベ、燻製、ムニエルなどの料理に適しています。また、揚げ物のフライや天ぷらは特に美味で、地域によってはこの魚を使ったザンギが名物として知られています。さらに、シロザケよりも小型であるため、ちゃんちゃん焼きにも適しています。

味噌仕立ての鍋、鱒鍋も人気で、これはカラフトマスが多く獲れる地域に特に好まれます。また、塩蔵加工された山漬けや塩鱒はほどよい脱水・熟成があり美味です。加えて、卵は筋子として加工され、イクラはマス子と呼ばれ広く流通しています。缶詰の主原料としても用いられ、特にマルハニチロの鮭缶にカラフトマスが使用されています。

カラフトマスと他の魚類との関係

さらに、カラフトマスはシロザケとの間で交雑が起きており、漁業関係者の間では「サケマス」と呼ばれる個体が捕獲されることもあります。これらの交雑は、外見上双方の特徴を持っていることが多いため、興味深い課題となっています。

まとめ

カラフトマスは、多様な出身地と生態を持ち、食文化にも深く根付いている魚です。特に日本では、その漁業と食用利用が行われており、地域に特化した料理や加工品が数多く存在します。

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