カラワンギ・サーガラ

津守時生による日本の遠未来ファンタジー小説。イラストは小林智美が担当。角川スニーカー文庫から全4巻で刊行後、未収録短編などを加えた「完全版」が全3巻で再刊行された。

概要

本作は『喪神の碑』と世界観を共有しており、一部キャラクターも登場する。『喪神の碑』の32年後の物語であり、さらに29年後が『三千世界の鴉を殺し』の舞台となる。

物語は、18歳の少女スーリヤ・フェイガンが、夏期休暇を利用して叔母が研究員として滞在する未開惑星マサラへ向かうところから始まる。マサラは熱帯性雨林気候の惑星で、住民は部族ごとに集落を形成し生活している。スーリヤは、マサラ星で18年前に失踪した父の謎、そして自身の出生の秘密に迫っていく。

主な登場人物

マサラ星の研究員たち

銀河連邦が地球系と六芒系に二分されている混乱に乗じ、違法行為に手を染める地球系企業の要請でマサラに滞在している研究者たち。

スーリヤ・フェイガン: 主人公。小麦色の肌と長い黒髪を持つ18歳の少女。スリウォンとの出会いをきっかけに、自身の運命を大きく変える旅に出る。
アスカ・フェイガン: スーリヤの叔母。金髪と青い瞳が特徴的な才女。森林生態学者としてマサラに派遣される。連邦軍の調査員という裏の顔も持ち、18年前に失踪した兄の足跡を追う。
コルネラ・シム: 六芒人の女性傭兵。研究員たちの護衛として財閥に雇われている。アスカとは親しい間柄。
ニコル・マーベリック: 医師。金髪碧眼の美青年。実は連邦軍情報部に所属する軍人であり、本名はニコラルーン。テレパシストであることを隠している。
バツーク: バイカ研究所の所長。一見温和だが、手柄のためには手段を選ばない野心家。
ミー・チェン: 研究員の1人。アスカやコルネラからは良く思われていない。

マサラ人

部族ごとに集落を作り、独自の文化を持つ惑星マサラの先住民族。カオヤイと呼ばれるリーダー的存在を中心に生活を営む。

カオヤイ: 部族のリーダー的存在。男女問わず長身で美形、高い身体能力とテレパシー能力を持つ。髪の一部が鮮やかな色に発光し、体に刺青を施している。
タウ: オーダ村のカオヤイ。温和で中立的な性格。
スリウォン: ワンナム村の少年カオヤイ。保守的な考えを持つ。
ブラナー: ゴドワ村のカオヤイ。「改革派」のリーダー。アスカに好意を抱いている。
スールワシ: 女性のカオヤイ。ロンダウリ村の出身。
チャンドゥア: ワンナム村のカオヤイ。スールワシに想いを寄せている。
ティエンマ: ウルアビ村を飛び出したカオヤイ。ブラナーに敵意を抱いている。
サジャク: パタン・カトゥ村の少年カオヤイ。

その他

ロヴ・ジョナサン: 前作『喪神の碑』の主人公。銀河連邦軍の司令官。
オリビエ・オスカーシュタイン: 前作からの登場人物。超A級テレパシスト。
ウィーヴ: 白氏族の長老の孫娘。テレパシストであり、快楽殺人者。
F・M・ゼロ: 民間船の女性船長。賞金稼ぎ。

用語

マサラ星: 銀河連邦法に基づいて管理されている惑星。熱帯性雨林気候だが、放射線値の高い砂漠化した地域も存在する。
マサラ人: 部族ごとに村落を形成し、精霊崇拝を信仰する。祖先は人体実験を受けた知識人であるという。
カラワンギ: マサラ人の信仰対象である巨木に宿る神。テレパシーで神託を下す。
ラグ・カオヤイ: カオヤイが感情の高ぶりによって変化した状態。身体能力が向上する。
クランタフ・オパ: カラワンギによって禁域とされた場所。ゴドワ村の先祖が暮らしていた旧式の宇宙船。

シリーズ一覧

旧版

1. 密林の戦士（みつりんのラグ・カオヤイ）（1993年3月）
2. 虜囚の惑星（1994年3月）
3. 犠牲の神（スーリヤ・カラ）（1995年3月）
4. 神と人の物語（カラ・ワンギ・サーガラ）（1996年5月）

完全版

1. 密林の戦士（みつりんのラグ・カオヤイ）（2000年9月）
2. 犠牲の神（スーリヤ・カラ）（2000年10月）
3. 神と人の物語（カラ・ワンギ・サーガラ）（2000年12月）

関連項目

三千世界の鴉を殺し
* 喪神の碑

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