カルタジローネ

カルタジローネ：陶器が彩るシチリアの古都

カルタジローネは、イタリア・シチリア島カターニア県に位置する人口約3万8000人のコムーネ（基礎自治体）です。古くから陶器の生産地として知られ、特にマヨリカ焼きやテラコッタ陶器は、その美しい装飾と独特の技法で世界的に評価されています。

地理

カターニア県の南端に位置し、県都カターニアから西南西へ約59kmの距離にあります。エレイ山とイブライ山の麓に広がり、標高608mの地点にある市街は、エレイ山脈の一部である3つの丘の上に位置しています。この地形は天然の円形闘技場のようであり、ジェーラ湾に注ぐマローリオ川、カターニア平野へ向かって流れるカルタジローネ川の谷の流域となっています。

歴史

カルタジローネの地には、先史時代から人が定住していました。紀元前2000年頃のネクロポリスや考古学的発掘が、その証拠を示しています。ローマ帝国以前はシクリ人が居住していました。

カルタジローネの名が文献に初めて登場するのは、1143年のシチリア王ルッジェーロ2世の公文書です。アラブ人によるシチリア占領後、カルタジローネには城が築かれ、彼らが陶器製造に新たな技術を導入したと考えられています。カルタジローネという名称は、アラビア語の「花瓶の丘」を意味する言葉に由来するとされています。1030年には東ローマ帝国の将軍ゲオルギオス・マニアセスによる攻撃を受けましたが、その後も重要な拠点として発展しました。

オートヴィル朝とホーエンシュタウフェン朝時代には、陶器製造で大いに繁栄しました。1154年には、ルッジェーロ2世の宮廷にいたアラブ人旅行家イドリースィーがカルタジローネを「ジェノヴァ人の城」と呼んでいます。13世紀には、シチリアの晩鐘における反アンジュー家反乱に参加しました。

陶器生産と結びついた工芸と貿易の発展は、裕福な商人階級を生み出し、イタリア各地からの人々が定住するようになりました。14世紀にはユダヤ人コミュニティーも存在し、工芸、特に織物業に従事していました。しかし、1492年のスペインによるユダヤ人追放令により、カルタジローネの文化と経済は大きな打撃を受けました。

1693年のシチリア地震でカルタジローネはほぼ全壊しましたが、その後バロック様式で再建されました。この地震後の復興によって生まれた美しい街並みは、現在ユネスコ世界遺産「ヴァル・ディ・ノートの後期バロック様式の町々」として登録されています。

第二次世界大戦中には連合国側の激しい爆撃を受け、いくつかの歴史的建造物が失われました。1960年代から1970年代にかけては、不況により北部への人口流出が起こりました。

社会

カルタジローネは、陶器の生産地として広く知られています。伝統的なマヨリカ焼きやテラコッタ陶器は、町の文化と経済を支える重要な要素となっています。町の景観は、これらの陶器製品によって彩られ、独特の魅力を放っています。

行政

カルタジローネには、多くの分離集落（フラツィオーネ）があります。主要な集落としては、Albanazzo, Colleggiata (Collegiata), Favarella, Granieri, Mulino Buongiovanni, Piano Carbone, Piano San Paolo, Rangasia, San Basilio - Casa Prete, San Mauro, Santo Pietro, Serra Fornazzo, Signore del Soccorso, Villa Gravina, Villa Graziaなどがあります。

著名な人物

カルタジローネ出身の著名人としては、16-17世紀のイエズス会宣教師であるニコロ・ロンゴバルド、20世紀の政治家でイタリア共和国首相や欧州議会議長を務めたマリオ・シェルバ、サッカー選手のジュゼッペ・マスカーラなどがいます。

姉妹都市

カルタジローネは、以下の都市と姉妹都市提携を結んでいます。

サンフランシスコ（アメリカ合衆国）
サン・ディエゴ（ベネズエラ）
カリクラテイア（ギリシャ）
アルンスベルク（ドイツ）

カルタジローネは、陶器の伝統と豊かな歴史、美しいバロック様式の街並みが融合した魅力的な都市です。シチリアを訪れる際には、ぜひ足を運んでみてください。

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