カルテクサブミリ波天文台

カルテクサブミリ波天文台（CSO）について

カルテクサブミリ波天文台（Caltech Submillimeter Observatory, CSO）は、アメリカのカリフォルニア工科大学が運営していた電波望遠鏡です。ハワイ島のマウナケア山頂に設置され、1987年から2015年まで、サブミリ波帯の電波観測に活躍しました。

概要

CSOは、口径10.4mの電波望遠鏡をメインとし、カリフォルニア工科大学内外の研究者によって様々な研究に利用されてきました。マウナケア天文台群に設置されているジェームズ・クラーク・マクスウェル望遠鏡（JCMT）と組み合わせて2素子電波干渉計として使用されたり、サブミリ波干渉計と結合させた「拡大サブミリ波干渉計」(eSMA)の一部として観測能力の向上に貢献しました。

2015年に観測運用を終えた後、解体準備が進められ、環境アセスメントを経て2022年1月14日にハワイ州土地・天然資源委員会より解体許可がおりました。マウナケア天文台群の望遠鏡廃止計画に基づき、解体される最初の望遠鏡となりました。

解体後の望遠鏡は、改修後チリのアタカマ砂漠に移設され、レイトン・チャナントール望遠鏡（Leighton Chajnantor Telescope）として再利用される計画があります。

CSOの性能

CSOは、以下のような性能を持つ観測装置を備えていました。

主反射鏡
直径: 10.4m
F値: 0.4
焦点: カセグレン焦点およびナスミス焦点
架台
形式: 経緯台式
観測可能天体高度: 1.5度～89.5度
観測装置
ヘテロダイン受信機
観測可能周波数: 230GHz、345GHz、490GHz、690GHz、850GHz
分光装置
音響光学型電波分光計: 帯域幅50MHzまたは4GHz
Second Generation Submillimeter High Angular Resolution Camera (SHARC-II)
観測可能波長: 350μm、450μm、850μm
ボロメータアレイ
画素数: 384画素
Bolocam
観測可能波長: 1.1mm、2.1mm
ボロメータアレイ
画素数: 115画素

これらの観測装置に加え、大学や研究機関が持ち込む形で、広帯域分光装置 Z-SPEC、ZEUS、SHARC-IIに偏光観測機能を持たせるSHARPなどの装置も利用されてきました。

CSOの貢献

CSOは、サブミリ波帯での高精度な観測を通じて、星形成や銀河進化の研究に大きく貢献しました。特に、遠方宇宙の天体の観測や、星間物質の組成に関する研究において重要な役割を果たしました。また、様々な観測装置の開発や試験観測の場としても活用され、電波天文学の発展に寄与しました。

関連分野

天文学
電波天文学
望遠鏡
電波望遠鏡

まとめ

カルテクサブミリ波天文台は、その長い運用期間の中で数多くの天文学的発見に貢献し、電波天文学の発展に大きな足跡を残しました。解体されるものの、チリでの新たな活躍が期待されています。

外部リンク

Caltech Submillimeter Observatory（英語版）

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