カルマ (MUCCのアルバム)

ムックの10thアルバム『カルマ』は、2010年10月6日にデンジャークルー・レコードからリリースされました。初回限定盤と通常盤の2形態で発売され、初回限定盤にはDVDが付属しています。

DVDには、『カルマ』のレコーディング風景に加え、2010年6月9日に開催されたイベント「WHERE'S MUCC?」、そして6月12日に行われたミュージックビデオの撮影の模様が収録されており、ファンにとっては貴重な映像となっています。

アルバムについて、ミヤは「今回はかなりの問題作」と語っており、その言葉通り、実験的な試みが随所に見られます。特に、7曲目の「業」を境に、前半はエレクトロニカの要素を強く取り入れた楽曲、後半は従来のバンドサウンドを主体とした楽曲を配置することで、アルバム全体に独特の流れを作り出しています。

前作『球体』とはコンセプトが大きく異なるため、ミヤ自身も「リスナーの中にも賛否両論の声が多かった」と語っています。しかし、その挑戦的な姿勢こそが、ムックというバンドの魅力の一つと言えるでしょう。

アルバムタイトルである「カルマ」は、仏教の基本的な概念である“業（ごう）”を意味する梵語を意訳したものですが、ミヤは「言葉の響きで選んだ」と語っています。しかし、後で意味を調べてみると、歌詞の内容とリンクする部分があったため、そのまま採用することにしたそうです。

また、シングル「フォーリングダウン」との連動企画として、アルバムには握手券が封入されていました。

アルバムの収録曲は以下の通りです。

1. Chemical Parade（作曲・編曲:ミヤ）
- インスト曲。
2. フォーリングダウン Organic Edition（作詞・作曲:ミヤ/編曲:ミヤ、SPACE WALKERS）
- 19thシングルのアルバムバージョン。ドラムとベースが生演奏となっています。
3. 零色（ゼロシキ）（作詞・作曲:逹瑯/編曲:ミヤ、SPACE WALKERS）
- 逹瑯がアルバムコンセプトを最も強く意識して制作したナンバー。
4. ケミカルパレードブルーデイ（作詞・作曲・編曲:ミヤ）
- ミヤがアルバムを意識して制作したナンバー。
5. A.（アンサー）（作詞・作曲:逹瑯/編曲:ミヤ）
6. アイアムコンピュータ（作詞・作曲・編曲:ミヤ）
- レディオヘッドの『OK COMPUTER』に通じる世界観を持った楽曲。デジタルなサウンドでありながら、シンセサイザーの使用を控え、生楽器の録音を重視したアナログなレコーディングが行われました。
7. 業（作曲・編曲:ミヤ）
- インスト曲。アルバムの前半と後半の境目となる楽曲。
8. 堕落（作詞・作曲:逹瑯/編曲:ミヤ、富樫春生/英詞翻訳:衛藤利恵）
- ジャズを意識して制作された楽曲。ムック初のほぼ全編英歌詞の楽曲で、ラストに一部日本語詞が含まれています。アコースティックピアノに富樫春生が参加。
9. サーカス（作詞・編曲:ミヤ/作曲:SATOち）
- SATOちが「ファンクな曲を持ってきたかった」という意向から制作された楽曲。ブラスセクションにはピストルバルブが参加。
10. ポラリス（作詞:逹瑯/作曲:YUKKE/編曲:ミヤ）
- 生オーケストラのサウンドを盛り込んだ楽曲。YUKKEの「ストリングスを入れたい」というアイデアから制作されました。
11. ライオン（作詞・作曲・編曲:ミヤ）
- ミヤが「『球体』からの流れをくんでいる」と語るハードロックナンバー。サビのコーラスはファンが担当しています。
12. 羽（作詞・作曲・編曲:ミヤ）
- ミヤ曰く「3時間ほどでできた」楽曲。この曲にも富樫春生がピアノで参加。
13. 約束 Original Lyric ver.（作詞・作曲:逹瑯/編曲:ミヤ）
- 18thシングルのアルバムバージョン。歌詞が一部異なり、こちらがオリジナルとなっています。
14. フリージア Karma Edit（作詞:逹瑯/作曲:ミヤ/編曲:ミヤ、Ken（from.L'Arc〜en〜Ciel））
- 17thシングルのアルバムバージョン。シングルと異なり、最後まで演奏されています。

このアルバムからは、ムックの新たな音楽への探求心と、常に変化を恐れない姿勢が強く感じられます。

また、POLYSICSが2017年発売のトリビュートアルバム『TRIBUTE OF MUCC -縁[en]-』で「アイアムコンピュータ」をカバーしています。

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