カルロス4世 (スペイン王)

カルロス4世の生涯と治世

カルロス4世（Carlos IV）は、1748年にブルボン家から誕生し、1819年まで生きたスペイン王です。彼の治世は、1788年から1808年までの約20年間にわたり、スペインとヨーロッパの歴史において特異な時代を迎えました。政治的混乱や家族内の葛藤、ナポレオン戦争の影響を受けたカルロス4世の人生をたどります。

生い立ち

カルロス4世は、カルロス3世とマリア・アマリア・デ・サホニアの次男として生を受けました。彼の兄フェリペは精神的な問題を抱えており、王位につくことができなかったため、彼の担う役割は早くから明確でした。若い頃のカルロスはスポーツに親しみ、特にレスリングを好んでいました。しかし、知性においてはあまり注目されず、多くの人々からは鈍感であるとの評価を受けていました。父王とのコミュニケーションも疎遠であり、「バカだなカルロス」と言われることが多かったのです。若い頃、彼は従妹のマリア・ルイサとの結婚を告げられましたが、恋愛経験のない彼には大きな精神的な負担となりました。

即位と治世

1788年、カルロス4世は王として即位しましたが、その実際の政務は妻マリア・ルイサと彼女の庇護者であるマヌエル・デ・ゴドイに委ねることとなりました。国王自身は狩猟に情熱を注ぎ、公的な責任からは逃避する形になってしまいました。

フランス革命の影響を受け、国民の間には動揺が広がった中、カルロスは神権的な王権を堅持しつつも、実質的にはゴドイと王妃の言いなりに過ぎなかったのです。1803年、娘が天然痘に感染した際には、ワクチンを植民地へ輸送する手配をしましたが、それもさまざまな政治的対立の中での彼の限界を示しています。

1797年のトラファルガーの海戦でスペイン海軍が壊滅的な打撃を受けたことは、彼にとっても大きな痛手でした。また、ナポレオンによるイベリア半島侵入の下、国民の間での不満は高まり、アランフエスの暴動が発生します。

退位と晩年

1808年、アランフエスでの蜂起を受けて、カルロス4世は退位を強いられます。息子のフェルナンドがナポレオンにゴドイを排除するよう求め、カルロスは彼をかばう立場となりましたが、時既に遅しでした。彼はフランスに逃れ、ナポレオンの囚人となり、息子との関係に苦悩しながら晩年を送りました。

彼の余生は、ナポレオンから与えられた住まいで過ごすこととなり、その後1819年にローマで息を引き取りました。

家族

カルロス4世は1765年に従妹のマリア・ルイサと結婚し、14人の子供をもうけました。彼の子女に関する詳細は、各人が後にどのような結婚をし、どのような人生を歩んでいったかなど、スペイン王国の歴史において重要な役割を果たしました。特に、次代の王であるフェルナンド7世は彼の直系の子孫として、歴史に深く名を刻むこととなります。

カルロス4世の治世は、個人としても政治的にも複雑なものであり、スペインの歴史における重要な転機を迎える時代を反映したものでした。

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