カルロ・アルフレッド・ピアッティ

カルロ・アルフレッド・ピアッティ（Carlo Alfredo Piatti、1822年1月8日 - 1901年7月18日）は、19世紀イタリアを代表するチェリストであり、教育者としても後世に大きな影響を与えた人物です。

生い立ちと修学

ピアッティはイタリア北部、ベルガモ近郊のボルゴ・カナーレに生まれました。父はヴァイオリニストであり、最初は父からヴァイオリンの手ほどきを受けましたが、後にチェロへと転向します。彼のチェロの師となったのは、優れたチェリストであった大叔父のガエターノ・ザネッティでした。ザネッティのもとで2年間基礎を固めた後、地元の劇場管弦楽団で実地経験を積みます。ザネッティの死後、ピアッティはさらに研鑽を積むためミラノ音楽院に入学し、ヴィンチェンツォ・メリーギに師事しました。

演奏家としての道のり

音楽院で学んだ後、わずか15歳で演奏会デビューを果たし、翌年には演奏旅行を開始しました。しかし、初期のキャリアは順風満帆ではありませんでした。確かな技術を持ちながらも、聴衆を集めるのに苦労し、経済的に困窮する時期もありました。ある契約の最中に病に倒れた際、薬代を捻出するために自身のチェロを売却せざるを得なくなったという苦い経験もしています。

この窮状を知った著名なピアニスト、フランツ・リストは、彼の演奏に感銘を受け、新しい高価なチェロを贈りました。この支援が転機となり、ピアッティは次第にその才能を開花させていきます。彼の演奏スタイルは、過度に感情的にならず、堅実かつ品格のあるものと評され、その卓越した技巧と相まって多くの聴衆を魅了しました。

国際的な成功とロンドンでの活動

1838年頃から、ピアッティはヨーロッパ各地で精力的に演奏旅行を行い、主要な都市で目覚ましい成功を収めました。特にイギリスでの活動は重要で、1844年にはロンドンのフィルハーモニック・コンサートに登場し、聴衆に強い印象を与えました。彼は同時代の著名な作曲家とも交流があり、ウィリアム・スタンデール・ベネットやアーサー・サリヴァンといった作曲家からチェロ作品を献呈され、その初演を務めています。ベネットのチェロとピアノのための二重奏曲（作品32）を初演した際には、曲を受け取った当日のうちに暗譜で演奏したという逸話が残されています。

彼のキャリアにおいて最も特筆すべき貢献の一つは、ロンドンで1859年に創設されたポピュラー・コンサートにおける活動です。ピアッティはこのシリーズの創設メンバーとして参加し、実に39シーズンにわたってその中心的存在でした。1897年に引退するまで、彼はこれらのコンサートにおける室内楽セッションで、揺るぎない技術と品格をもって第1チェロ奏者を務め、英国の室内楽文化の普及と発展に多大な貢献をしました。

作曲と教育活動

ピアッティは演奏家としてだけでなく、作曲家としても活動しました。彼はチェロのための作品を多数残しており、チェロ協奏曲2曲、チェロ小協奏曲1曲、チェロソナタ6曲、チェロ伴奏による歌曲、チェロ独奏曲などがあります。また、今日のチェロ学習者にとっても重要な教則本を執筆しました。これらの作品は、彼自身の卓越したチェロ技術と音楽性を反映しており、チェロのレパートリーに不可欠なものとなっています。さらに、彼は教育者としても多くの優れたチェリストを育て、ロベルト・ハウスマンなどが著名な門下生として知られています。

晩年と遺産

ピアッティが長年にわたり愛奏したアントニオ・ストラディバリウス製作のチェロは、彼の功績を称え、現在「ピアッティ」という名前で知られています。この歴史的な名器は、今日メキシコのチェリストであるカルロス・プリエトが所有しています。カルロ・アルフレッド・ピアッティは、故郷ベルガモからほど近いモッツォの地で、1901年7月18日にその波乱に満ちた生涯を閉じました。

ピアッティの生涯は、初期の苦難を乗り越え、世界的チェリストとしての地位を確立し、演奏、作曲、そして教育という多方面からチェロ芸術の発展に尽力した偉大な足跡として、音楽史に深く刻まれています。

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