カルージュ

カルージュ（Carouge）は、スイス連邦ジュネーヴ州に位置する基礎自治体（コミューン）です。州都ジュネーヴの南側、アルヴ川を挟んで接しており、その他にランシーやヴェイリエといったコミューンに囲まれています。

カルージュの歴史は、1754年6月3日にジュネーヴとサヴォイア公国の間で締結されたトリノ条約に端を発します。当時小さな集落に過ぎなかったカルージュは、この条約による停戦と地の利を得て、急速な発展を始めました。当初はワイン取引で栄えましたが、1770年頃からはサヴォイア公の公的な支援を受け、サヴォワの商業都市として成長を加速させました。1777年までには、近隣のジュネーヴの需要も見込んだ大規模な市（現代の見本市に相当）を年に二度開催するようになり、1780年にはサヴォイア公国内でジュネーヴ地方の主要な都市として既に認められていました。

この町のユニークな点は、建設計画の段階から思想や民族に対する開放的な政策を採ったことにあります。その結果、多様な人々や思想が集まりました。例えば、1777年にはフリーメイソンが定着し、カトリックが主流であったサヴォワ領内において、1783年にはプロテスタントの信仰が正式に認められました。さらに、1779年にはアルザス地方からのユダヤ人移民を受け入れ、彼らのために設けられた墓地は、ヨーロッパにおける最も古いユダヤ人墓地の一つとされています。

このような発展を経て、1786年1月31日には、当時のサルデーニャ王ヴィットーリオ・アメデーオ3世によって都市としての地位が正式に承認され、現在の紋章が授与されました。

しかし、フランス革命後の混乱期に入ると、その帰属は不安定となります。1792年にはナポレオン・ボナパルト率いるイタリア遠征軍によって、隣接するジュネーヴと共にフランスのレマン県に編入されました。その後、ナポレオン失脚後の1814年5月からは、サルデーニャ王国、フランス、再びサルデーニャ王国と、帰属が度々変更される時期が続きました。最終的に、1816年3月16日に再度締結されたトリノ条約により、既にスイス連邦に加盟していたジュネーヴ州の一部となることが確定し、現在に至ります。

歴史的な経緯から、特に旧市街の景観には北イタリア文化の影響が色濃く反映されており、イタリアに関連する宗教施設なども多く見られます。その町並みは、スイス国内にいながらにして独特の雰囲気を醸し出しています。

現代のカルージュは、ジュネーヴに隣接する落ち着いた住宅地としての一面と、ショッピングセンターや週末も営業する商店が集まる商業的な魅力を持つ町として、住民や訪問者に親しまれています。

参考までに、カルージュの面積は2.66平方キロメートルであり、人口は2008年1月時点で19,114人でした。公式サイトはフランス語で提供されています。

もう一度検索