カレハガ科

カレハガ科（学名：Lasiocampidae）は、昆虫綱チョウ目に分類される科の一つです。

成虫の特徴

カレハガ科の多くの種類の成虫は、静止している際にその姿がまるで枯れた葉っぱであるかのように見えます。これは、捕食者から自らの存在を隠すための優れた擬態戦略と考えられています。このような外見は、天敵からの発見を避け、生存の確率を高めるのに役立っています。

幼虫の特徴と毒針毛

カレハガ科の幼虫の最大の特徴の一つは、その多くが毒針毛を備えている点にあります。ただし、オビカレハのように毒針毛を持たない例外的な種も知られています。毒針毛を持つ幼虫に不用意に触れてしまうと、その毒によって皮膚にかゆみや赤み、腫れといった炎症反応、いわゆる接触皮膚炎を引き起こす可能性があります。

毒針毛を持つカレハガ科の幼虫は、全体的に褐色や茶色、灰色など、地味な体色をしている傾向があり、周囲の環境に溶け込みやすい姿をしています。彼らの体には、毒針毛が集まってできた特徴的な「束」が見られます。

この毒針毛の束の配置は種類によって異なります。例えば、カレハガ、マツカレハ、クヌギカレハ、ヤマダカレハといった代表的な種類では、主に頭部の付近に短い毒針毛の束が左右に二つ配置されています。一方、タケカレハやヨシカレハといった種類では、頭部付近と尾部付近に、それぞれ長めの毒針毛の束が一つずつ離れて配置されています。


外敵からの刺激を受けた際の幼虫の反応も、毒針毛の束の配置によって違いが見られます。

頭部付近に二つの束を持つ種類: 危険を感じた際に、頭部付近の毒針毛の束を膨らませて立て、敵に対して自身の危険性をアピールする威嚇行動をとることがあります。
頭部と尾部に一つずつ束を持つ種類: 刺激を受けても、毒針毛の束を特に膨らませたり、目立った威嚇行動をとることは少ないとされています。

繭と毒性

カレハガ科の幼虫が蛹になるために作る繭にも、幼虫の毒針毛が付着しています。そのため、繭に触れる際にもかぶれなどのリスクがあり、注意が必要です。しかし、ドクガ科の一部のガの仲間とは異なり、カレハガ科の成虫には幼虫の毒針毛が移行したり、成虫自体が毒を持ったりすることはありません。

日本産の主な種類

日本にはカレハガ科に属する様々な種類が生息しています。代表的なものとしては、以下のような種類が挙げられます。

カレハガ
マツカレハ
クヌギカレハ
ツガカレハ
ヤマダカレハ
タケカレハ
ヨシカレハ
オビカレハ
ウスズミカレハ
スカシカレハ
ヒメカレハ
リンゴカレハ

関連項目

ケムシ（ガの幼虫の一般的な呼称であり、毒針毛を持つものも含まれる）
ガ（カレハガ科が属する昆虫のグループ）

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