カレンニー諸民族防衛隊

カレンニーニー諸民族防衛隊（KNDF）

カレンニーニー諸民族防衛隊（Karenni Nationalities Defence Force、ビルマ語: ကရင်နီအမျိုးသားများကာကွယ်ရေးတပ်ဖွဲ့、略称：KNDF）は、ミャンマーで2021年に発生した軍事クーデターに対し、カレンニー州（旧カヤー州）を中心とした地域で抵抗するために組織された武装勢力です。

この組織は、カレンニー民族進歩党（KNPP）をはじめとする多様な勢力を包括しており、その構成は少数民族武装組織と市民との間の強固な連携を示すものと評されています。KNDFはミャンマー国軍との激しい衝突を続けており、特に第66軽歩兵師団とはたびたび交戦しています。

2023年6月6日に発表された結成2周年を記念する声明では、KNDFがこれまでに22個の大隊を組織し、計6回の主要な作戦を実行したことが明らかにされました。この声明の中で、KNDFはミャンマー国軍の支配は州都ロイコーの市街地周辺に限定されており、カレンニー州の他の広範な地域はほぼ全て抵抗勢力の統制下にあるとの見解を示しています。

部隊編成

部隊編成は拡大を続けており、2024年9月20日には新たに第31大隊の設立を発表しました。これにより、KNDFは8個旅団、合計31個大隊を擁する規模に成長しています。

目的と課題

KNDFのスポークスパーソンがメディアのインタビューで語ったところによれば、組織の目的は、カレンニー州の若者たちの力を結集し、団結を通じて軍事政権により効果的に対抗することにあります。ミャンマー全土の抵抗勢力と共通する目標として、軍事政権の打倒を掲げています。また、カレンニー州人民の団結を促進し、歴史的に重要な役割を担ってきたカレンニー民族進歩党（KNPP）との協力関係を特に重視しています。一方で、活動上の大きな課題として、武器や弾薬の不足を挙げています。

防衛政策

防衛政策については、国民統一政府（NUG）および連邦議会が定める方針に準拠しており、これは他の地域に展開する国民防衛隊（PDF）や様々な民兵組織と共通する立場です。NUGの国防省は、民主的な管理下での国防産業の発展や、将来的な連邦制を見据えた運営を目指し、リーダーシップ、政策策定と実施、立法・司法による監査、行政、国際法の遵守、称号・任務の指定、財政管理、物資共有といった7項目の国防政策を公表しています。KNDFはこれらの指針に基づいて設立され、行動しているとされています。具体的には、カレンニー州に拠点を置く3つのPDF大隊、シャン州を活動範囲とする2つのPDF大隊、そしていくつかの少数民族武装勢力など、多様な組織で構成されています。

戦闘状況

2021年5月の結成以来、KNDFはミャンマー全土で続く内戦に深く関わっています。2022年までの時点で、KNDFは国軍との間で341回もの衝突を経験し、797名の国軍兵士を無力化させたと報告しています。一方、KNDF側の犠牲者は65名とされています。戦況は抵抗勢力にとって有利に進んでいるとされており、2024年3月23日の発表によれば、KNDFを含む抵抗勢力はカレンニー州の面積の90%を支配下に置いたと主張しています。

KNDFは、軍事政権に対するカレンニー州における抵抗運動の中核を担う勢力として、その組織力と活動範囲を拡大しながら、目標達成に向けた活動を続けています。

もう一度検索