シャン州

シャン州

シャン州は、ミャンマー東部に位置する広大な州で、中国、ラオス、タイとの国境に接しています。面積はミャンマー全体の約4分の1を占め、国内最大の州です。州都はタウンジーで、主要都市としてはラーショーやチャイントンなどがあります。しかし、都市部は少なく、大部分は農村地帯となっています。

名称と語源

シャン州は、現地の多数派民族であるシャン族に由来します。シャン語では「モンタイ」と呼ばれ、これは「タイ族の国」を意味します。ビルマ語では「シャンピー」と呼ばれ、「シャンの国」という意味になります。英語では「Shan State」と呼ばれています。

歴史

シャン州は、かつてシャン諸邦として存在した地域を継承しています。歴史的には、タイ族の国家がこの地域を含む広範囲に存在していました。13世紀から16世紀には、アヴァ王朝やペグー王朝といったビルマの王朝もこの地域に影響を与えました。これらの王朝の創始者には、それぞれシャン族の血を引く者もいました。

地理

シャン州は、ミャンマー東部からタイ北部にかけてのシャン丘陵に位置しています。メコン川とサルウィン川が州内を流れ、ディーン・ラーオ山系が連なります。シャン高原ではルビーやサファイアなどの宝石が採掘され、サルウィン川周辺では鉛や銀などの鉱物資源が豊富です。

行政区画

シャン州は、11県、4自治区、1自治管区に分かれています。主要な県としては、州都タウンジーがあるタウンジー県、ラーショー県、チャイントン県などがあります。自治区としては、ダヌ自治区、パオ自治区、パラウン自治区、コーカン自治区があります。また、ワ自治管区も存在します。

各県には特徴があり、例えば、タウンジー県はインレー湖へのアクセスが可能で、カローは避暑地として知られています。ラーショー県は、ミャンマー鉄道の終着駅であり、かつてはビルマ公路が通っていました。ムセ県は、中国との国境に位置し、中国への貿易拠点となっています。チャイントン県は、アジアハイウェイに接続しており、中国との交流が盛んです。

交通

シャン州には、ヘーホー空港やラーショー空港など複数の空港があり、主要都市間を結ぶ道路も整備されています。国道3号線はマンダレーとムセを結び、国道4号線はメイッティーラとタチレクを結んでいます。また、国道5号線はタウングーとホーポンを結んでいます。

住民

シャン州には、シャン族、パオ族、インダー族、ラフ族、リス族、タウンヨー族、ダヌ族、パラウン族、アカ族、カチン族など、多様な民族が暮らしています。シャン族は主に渓谷や高原に住み、仏教徒が多いです。パラウン族は北部地域、リス族は北部と南部に多く居住しています。また、イギリス植民地時代からの名残で、タウンジーにはイギリス系ビルマ人も住んでいます。

宗教

2014年の国勢調査によると、シャン州の人口の81.7%が仏教徒です。キリスト教徒は9.8%、イスラム教徒は1%、ヒンドゥー教徒は0.1%、アニミストは6.6%となっています。また、僧侶の数はミャンマー全体でも多く、特に沙弥のコミュニティは最大規模です。

武装勢力の活動

シャン州では、複数の少数民族武装組織が活動しています。ミャンマー国軍と停戦協定を結んでいる組織もありますが、一部地域では国軍と衝突が続いています。近年では、タアン民族解放軍、アラカン軍、ミャンマー民族民主同盟軍などが活発化しています。

その他

シャン州は、かつてアヘン生産が盛んでしたが、近年は減少傾向にあります。また、中国との国境貿易が盛んで、経済的、政治的な影響を受けています。

シャン州は、多様な民族と文化が共存する地域であり、歴史的にも重要な場所です。しかし、紛争や民族問題も抱えており、複雑な状況下にあります。

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