カロウィンズ・モノレール

カロウィンズ・モノレール（英: Carowinds Monorail）は、アメリカ合衆国のノースカロライナ州シャーロットとサウスカロライナ州フォートミルにまたがる広大なテーマパーク「カロウィンズ」内に存在したユニークな交通システムです。1973年から1994年までの約21年間、園内の風景を眼下に眺めながら進む特別な旅を提供しました。

一般的なモノレールが都市交通や施設内の主要な輸送手段として機能するのとは異なり、カロウィンズ・モノレールは、その設計や運用形態から、あくまで遊園地のアトラクションの一つとして位置づけられていた点が大きな特徴でした。駅は一つしか設けられておらず、特定の地点間を結ぶ移動手段というよりは、園内をゆっくりと周遊するライドに近い性質を持っていました。これは、当初計画されていた遊園地とホテルを結ぶ構想が、ホテルの建設中止により実現しなかったため、純粋にエンターテイメント施設としての役割に特化することになった経緯とも関連しています。

このモノレールは、ユニバーサル・モビリティ社によって製造されました。その開業は1973年6月2日という歴史的な日でした。この記念すべき運行開始には、当時のノースカロライナ州知事ジェームス・ホルシャウザー氏とサウスカロライナ州知事ジョン・C・ウェスト氏という、両州のトップが出席し、期待の高さがうかがえました。運行された路線は全長3.2キロメートル（約2マイル）で、モノレールは平均速度約29キロメートル毎時（約18マイル毎時）で走行し、一周するのに要する時間は約10分14秒でした。

開業当初は多くの来場者に利用され、遊園地の人気アトラクションの一つとなりました。特に1982年には年間利用者数が50万人というピークを記録するなど、順調な時期もありました。しかし、そのピークを境に利用者数は徐々に減少傾向をたどります。遊園地内の他の新しいアトラクションの登場や、維持管理コスト、時代の変化など、理由は複数考えられますが、利用者数の持続的な減少は運営にとって大きな課題となりました。最終的に、利用者数の減少が運行継続の困難さにつながり、カロウィンズ・モノレールは1994年8月をもって運行を終了し、その役目を終えました。廃止が決定された時点での一日平均利用者数は約7,000人でした。

運行終了後、モノレールの解体作業は迅速に進められました。1994年11月に開始された解体工事は、同年12月には完了しました。しかし、これは単なる施設の撤去ではありませんでした。解体されたモノレールの車両や設備は、そのまま廃棄されるのではなく、遠く離れた国へ運ばれることになったのです。部品は丁寧に梱包され、艀（はしけ）に乗せられて海路でメキシコのアカプルコへと出荷されました。そして、アカプルコにあるリゾート施設「Vidafel Mayan Palace」（現在のVidanta Mayan Palace Acapulco）にて、再び組み立てられ、1995年には新たな地で運行を開始しました。アメリカの遊園地で遊戯施設として親しまれたモノレールが、海を越えてメキシコのリゾート地で第二の人生を送るという、非常に珍しい運命をたどった事例と言えます。

カロウィンズ・モノレールは、わずか21年間の短い期間の運行ではありましたが、開業当時の華やかさや、利用客に提供した遊園地からの特別な眺めなど、多くの人々の記憶に残る存在でした。遊園地のアトラクションとしての役割を終えた後も、異国の地で再利用されるというユニークな歴史は、このモノレールが単なる乗り物以上の価値を持っていたことを示唆しています。カロウィンズ遊園地の歴史を語る上で、欠かせない存在の一つと言えるでしょう。

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