カロタイプ

カロタイプについて

カロタイプ（Callotype）は、19世紀のイギリスの科学者ウィリアム・ヘンリー・フォックス・タルボットによって発明された革新的な写真技法です。この技法の名称は、ギリシャ語の「Καλος」（Kalos、美しい）に由来しており、美しい画像を創り出す能力を示しています。カロタイプは歴史上初めてのネガ・ポジ法であり、これにより複製が可能となるという点で、当時の主流であったダゲレオタイプに対して優位性を持っていました。

カロタイプの製法

カロタイプでは、食塩水に紙を浸して乾燥させた後、硝酸銀溶液を含浸させた感光紙を使用します。この紙をカメラ・オブスクラにセットし、光を通して撮影を行います。現像は硝酸銀、酢酸、没食子酸を混合した溶液を用いて行われ、写真を定着させるためには臭化カリウム（後にチオ硫酸ナトリウム）が使用されます。こうして、約6cm×6cmのサイズのネガティブ像が得られます。晴天の屋外では、1分ほどの露光時間で撮影が可能でした。

タルボットとカロタイプの歴史

タルボットが最初に撮影したカロタイプの写真は、1835年に彼の別荘の書斎の窓から撮られたもので、現在はロンドンのサイエンス・ミュージアムに展示されています。タルボットはこの原理を1835年8月には発明していたものの、その製法については秘密にしていました。同じ時期に、ルイ・ジャック・マンデ・ダゲールがダゲレオタイプを発明し、1839年に公開したことを受けて、タルボットは急いで報告書を作成し、発明の優先権を主張しましたが、その主張は認められず、結果的に彼は写真発明の名誉を失うことになりました。

最初に得られたのは明暗が逆転したネガティブ像でしたが、次第にネガティブ像を複写することによってポジティブ像を得る技術が確立します。このネガ・ポジ法は1841年にイギリスで特許が取得され、1つのネガから無限にポジティブ像を複製できる特長がありました。このことにより、写真技術は新たな段階に進化したのです。

ポジティブ像の特徴と影響

ポジティブ像を作る際には、紙に複写することから、紙の繊維が画像に映り込むという特性があります。そのため、ダゲレオタイプのようなシャープさはないものの、絵画のような質感を持つマチエールを生かした写真が制作されました。このような技術革新は、写真の芸術的表現の可能性を広げることにつながりました。

また、当時のフランスのイポリット・バヤールもほぼ同様の写真術を1839年に発明していましたが、タルボットと同様に彼の業績も広く認められることはなかったのです。

写真技術の進化と今後

その後、カロタイプはさらなる改良が加えられ、写真湿板や写真乾板といった新しい技術が発展し、複製の画質は大幅に向上していきます。カロタイプの存在は、写真術の進化において大きな役割を果たし、今日のデジタル[[写真]]へと続く長い道のりの重要な出発点となったのです。

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