カロルス・クルシウス

カロルス・クルシウスについて

カロルス・クルシウス（Carolus Clusius）、またの名をシャルル・ド・レクリューズ（Charles de l'Écluse）は、1526年2月19日にフランスのアラスで生まれ、植物学の分野において非常に重要な業績を残した人物です。彼は、特に16世紀の園芸に多大な影響を与えた植物学者として広く知られています。

略歴

クルシウスは、モンペリエにおいて著名な医師ギヨーム・ロンドレに学びましたが、医師としてのキャリアを選ぶことはありませんでした。1573年、彼はウィーンのマクシミリアン2世の薬園に勤務し始めましたが、1576年、ルドルフ2世の即位後に解雇されてしまいます。その後、1580年代の終わりにはフランクフルトに移住し、1593年にはライデン大学の教授として任命されました。彼はヨーロッパで初めての公営植物園の一つであるライデン大学植物園の設立に尽力し、そこでの詳しい植栽記録を残しました。

クルシウスの功績の中でも特筆すべきは、チューリップの品種改良を行い、これによってヨーロッパにおけるチューリップ・バブルの発端となったことです。彼は1557年にアントワープでレンベルト・ドドエンスの『植物誌』のフランス語訳を出版し、これが彼の最初の著書となりました。それ以降、彼はアントワープの植物関係の出版人と協力し、図版入りの数多くの著作を刊行しました。特に、1576年に書かれた『Rariorum aliquot stirpium per Hispanias observatarum historia』はスペインの花に関する初めての本として評価され、1583年の『Rariorum stirpium per Pannonias observatorum Historiae』はオーストリアとハンガリーの高山植物に関する最初の著作となりました。また、1601年に出版された『Rariorum plantarum historia』には、中央ヨーロッパのキノコについての研究も含まれています。

植物学への貢献

クルシウスはまた、オーストリアの植物研究のため、山岳地帯の探険を行った初期の植物学者でもあります。特にシュネーベルクの登山記録は、文書として残されている最古のものであり、彼の高山植物に対する研究は重要な成果をもたらしました。その後、彼の名にちなんだいくつかの植物の学名も制定されています。具体的には、Gentiana clusii、Potentilla clusiana、Primula clusianaなどがあり、さらにオトギリソウ科（Clusiaceae）も彼の名前に由来しています。

代表的な著書

彼の著書は多岐にわたり、以下のようなものがあります：

• - 1557: 『レンベルト・ドドエンス, Histoire des plantes』 - オランダ語からフランス語への翻訳
• - 1567: 『Garcia de Orta, Aromatum et simplicium aliquot medicamentorum apud Indios nascentium historia』 - ポルトガル語からラテン語訳
• - 1574: 『Nicolás Monardes, De simplicibus medicamentis ex occidentali India delatis quorum in medicina usus est』 - スペイン語からラテン語訳
• - 1576: 『Rariorum aliquot stirpium per Hispanias observatarum historia』
• - 1583: 『Rariorum stirpium per Pannonias observatorum Historiae』
• - 1601: 『Rariorum plantarum historia』

彼の業績は、植物学の発展において極めて重要でした。164年後に彼の著作の翻訳が行われ、彼の研究は今なお多くの人々に影響を与え続けています。

参考文献

クルシウスの功績や研究は多くの文献に記されており、Florike Egmond『The World of Carolus Clusius: Natural History in the Making, 1550-1610』をはじめとした資料はその全貌を知る手助けになります。また、Hunger, Friedrich Wilhelm Tobiasの『Charles de L’Escluse (Carolus Clusius) Nederlandsch kruidkundige, 1526-1609』や、Ogilvie, Brian W.の『The Science of Describing: Natural History in Renaissance Europe』も重要な参考資料です。

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