オトギリソウ科

オトギリソウ科 (Hypericaceae)

オトギリソウ科は、キントラノオ目に分類される植物の科で、約9属560種から構成されています。この科の植物は、低木から草本、さらにはつる性のものまで、多様な形態を示します。分布域も広く、温帯から熱帯にかけて世界各地で見られます。

特徴

オトギリソウ科の植物は、薬草として利用されてきた歴史があります。特に、オトギリソウやセイヨウオトギリは、古くから薬効成分が注目されてきました。また、美しい黄色い花を咲かせるビヨウヤナギやキンシバイは、観賞用としても広く栽培されています。

従来の分類

以前の分類体系では、オトギリソウ科はクロンキスト体系ではツバキ目に、新エングラー体系ではツバキ科やマタタビ科とともにオトギリソウ目としてまとめられていました。この当時のオトギリソウ科（ClusiaceaeまたはGuttiferae）は、約40属1000種を含む大きな科でした。

旧来の分類では、テリハボク亜科（Clusioideae）とオトギリソウ亜科（Hypericoideae）の2亜科に分けられていましたが、APG体系では、前者はフクギ科・テリハボク科に、後者はオトギリソウ科として扱われるようになりました。また、APG体系では、学名"Clusiaceae"はフクギ科に対応することになりました。

系統

オトギリソウ科は、テリハボク科、フクギ科、カワゴケソウ科、ヤチモクコク科とともに、"clusioid"と呼ばれる単系統群を形成しています。このグループはキントラノオ目に属することがわかっていますが、他の科との詳しい関連についてはまだ研究中です。

下位分類

オトギリソウ科は、以下の3連に分類されます。

Cratoxyleae
オハグロノキ属 (Cratoxylum)などが含まれます。
Vismieae
Harungana, Vismia, Psorospermumなどの属が含まれます。
Hypericeae
オトギリソウ属 (Hypericum)：オトギリソウ、セイヨウオトギリ、ビヨウヤナギ、キンシバイなど
ミズオトギリ属 (Triadenum)：ミズオトギリ
Thornea, Lianthus, Santomasiaなどの属が含まれます。

代表的な種

オトギリソウ (Hypericum erectum)
日本各地に自生する多年草で、薬草としても知られています。
セイヨウオトギリ (Hypericum perforatum)
ヨーロッパ原産の多年草で、近年は日本でも薬用として栽培されています。
ビヨウヤナギ (Hypericum chinense)
中国原産の低木で、黄色い花が美しいことから観賞用に栽培されます。
キンシバイ (Hypericum patulum)
中国原産の低木で、ビヨウヤナギに似た花を咲かせます。
ミズオトギリ (Triadenum japonicum)
日本各地に自生する多年草で、湿地に生えます。

オトギリソウ科は、その多様性と有用性から、植物学や園芸学、薬学など、様々な分野で注目されています。今後の研究によって、より詳しい生態や系統関係が解明されることが期待されます。

脚注

[外部サイトへのリンクはここに挿入]

もう一度検索