カワサキ・バリオス

カワサキ・バリオス：ギリシャ神話の天馬が宿る、250ccスポーツネイキッド

カワサキ・バリオスは、川崎重工業が1991年から2007年まで製造販売していた、250ccのネイキッドタイプのオートバイです。その名前は、ギリシャ神話に登場する不老不死の天馬「バリオス」に由来しており、燃料タンクには天馬をイメージしたエンブレムが誇らしげに輝いています。独特のロゴデザインも特徴的で、カワサキのロゴは控えめに、代わりに「BALIUS」のロゴが大きく配されています。

軽快な走りとスポーティなデザイン

バリオスは、レーサーレプリカ「ZXR250」譲りの水冷エンジンを搭載。しかし、そのエンジンは、レーサーレプリカとは異なり、中低速域での扱いやすさを重視したセッティングが施されています。シリンダーには空冷風のフィンが追加され、クランクケースカバーも変更。最高回転数は19000rpm(一部モデルは18000rpm)を誇り、甲高く鋭い排気音は多くのライダーを魅了しました。このサウンドは、F1サウンドと称されるほど特徴的です。

ハイパワーと扱いやすさの両立

45ps(一部モデルは40ps)の最高出力を発揮するエンジンは、250ccクラスとは思えないほどの力強い加速性能を誇り、400ccクラスにも匹敵するトルクを備えていました。現代の同クラスのバイクと比較しても、走りを重視したハードな乗り味が特徴です。しかし、ネイキッドタイプの車体であり、軽量で、ハンドルポジションが高く、シート高も低いため、初心者や女性ライダーにとっても扱いやすい設計となっています。足回りには、モノショック式リアサスペンションと大径ディスクブレーキを採用し、高い制動力を確保。モデルチェンジを経るごとに、ハザードランプスイッチや燃料計などの装備も追加されました。

バリオスIIとOEM供給

1997年には、リアサスペンションを2本ショック式に変更した「バリオスII」が登場。スロットルポジションセンサー付きのキャブレターの採用により、エンジンレスポンスが向上しました。さらに、2002年から2005年にかけては、スズキへOEM供給され、「GSX250FX」として販売されました。これは、スズキのネイキッドモデル「バンディット250」の後継モデルとして位置づけられました。

生産終了とその後

長きにわたって人気を博したバリオスですが、自動車排出ガス規制の強化により、2007年8月末をもって生産が終了しました。しかし、そのスポーティなデザインと力強い走りは、多くのライダーの記憶に深く刻まれています。カワサキの代表的な名車として、現在でも高い人気を誇っています。

関連車種

カワサキ・エプシロン：スズキからスカイウェイブ250/アヴェニス150の供給を受けたモデル
Dトラッカー250/250SB：カワサキからスズキに供給されたモデル

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