カワサキ・GPz250

カワサキGPz250：空冷エンジンの魅力と進化

カワサキGPz250は、1983年3月に発売されたオートバイです。名車Z250FTの後継機種として登場し、多くのライダーから愛されました。本モデルは、空冷4ストロークOHC2バルブ直列2気筒エンジンを搭載するなど、伝統を受け継ぎながらも、いくつかの革新的な変更が加えられました。

最も顕著な変更点は、リアサスペンションと駆動方式です。Z250FTのツインショック式から、より高度な路面追従性を実現するモノショック式「ユニトラック」へと進化しました。また、従来のチェーン駆動からベルト駆動に変更され、メンテナンスの容易さと走行性能の向上を両立させています。さらに、スタイリッシュなビキニカウルを標準装備することで、空力性能とデザイン性を向上させています。

ブレーキシステムも変更されています。Z250FTの前後ディスクブレーキから、GPz250ではフロントダブルディスク、リアドラムブレーキという構成に変更されました。これは、当時の技術とコストバランスを考慮した結果と考えられます。

GPz250シリーズの特徴として、カワサキのパンフレットでは「GPz250」と表記されている点が挙げられます。様々な媒体で表記ゆれが見られますが、本稿ではカワサキの公式表記に準拠します。また、GPzシリーズの空冷エンジン搭載車種は、車名エンブレムの文字の高さから識別できます。GPz250のように、Z以降の文字が背の低いデザインとなっているのが特徴です。水冷エンジン搭載車種以降は、全ての文字の高さが揃えられています。

1985年には後継機種となるGPZ250Rが発売され、日本国内でのGPz250の販売は終了しました。しかし、その人気は衰えず、現在でも多くのファンに愛されています。

輸出モデル：Z250TとGPz305

GPz250は日本国内だけでなく、海外市場でも販売されました。輸出モデルとして、Z250TとGPz305が存在します。

Z250Tは、Z250FTの輸出モデルであるZ250Aの後継機種にあたります。「Scorpion」というペットネームも引き継がれていました。GPz250と同様にベルト駆動とモノショック式リアサスペンションを採用していますが、フロントシングルディスクブレーキとカウルレスのネイキッドスタイルという点が異なります。

一方、GPz305はGPz250の排気量拡大版です。GPz250は輸出されませんでしたが、GPz305は海外市場で販売されました。GPz250と同様のビキニカウルを装備し、55mmのボア径を61mmに拡大することで排気量を305ccにアップグレードしています（ストロークは52.4mmで共通）。

GPz305は、主にベルトドライブ方式のEX305-B型が製造されましたが、初期にはチェーンドライブ方式のEX305-A型も存在しました。B型は1987年モデルのEX305-B5まで製造されました。Z250TとGPz305は、1980年代後半まで販売され、世界中のライダーにカワサキの技術力を知らしめました。

モデルバリエーション

GPz250、Z250T、GPz305はそれぞれ複数のモデルイヤーが存在し、年式による細かな仕様変更が行われていました。これらのモデルイヤーの情報は、カワサキの公式資料や専門誌などを参照することで、より詳細な情報を得ることができます。

GPz250は、そのスタイリッシュなデザインと扱いやすいエンジン特性、そして信頼性の高さから、長年にわたって愛され続ける名車となりました。その存在は、カワサキの歴史に深く刻まれています。

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