カワサキ・W175

カワサキW175：レトロなスタイルと実用性を兼ね備えた単気筒バイク

カワサキW175は、2017年にカワサキモータースが発表した単気筒バイクです。フィリピンで販売されていたサイドカーベース車「バラコII」を原型に、タンクやヘッドライトなどを変更することでクラシカルな雰囲気に仕上げられています。Wシリーズやエストレヤの流れを汲むレトロなスタイルは、多くのバイク愛好家を魅了する魅力となっています。

世界展開と人気

2017年11月、インドネシア・ジャカルタでのワールドプレミアを皮切りに、インドネシア国内での販売が開始されました。その後、タイやフィリピンといった東南アジア諸国、ウルグアイやメキシコ、ボリビアといったラテンアメリカ諸国へと輸出され、グローバルな人気を獲得しています。

特にインドネシアでは、チョッパースタイルのカスタムバイクを所有するジョコウィ大統領や西ジャワ州知事といった著名人が愛用したことで、大きな話題を呼びました。改造バイク愛好家の間でも高い人気を誇り、W175は単なる交通手段を超えた存在感を示しています。

多様なバリエーション

W175は、ユーザーのニーズに合わせた複数のバリエーションが用意されています。主なモデルとしては、W175 SE、W175 Cafe、W175 TR（デュアルパーパス）、そしてインド向けに開発されたW175 Lなどがあります。

W175 SE: クロームメーター、燃料タンクパッド、ブラックリム、リブ付きシートなど、クラシックな要素を強調したモデルです。2024年モデルではレッドと淡いブルーの2色がラインナップされました。
W175 Cafe: カフェレーサーをイメージしたスタイルが特徴です。カラードリアショックアブソーバー、クロームエキゾーストカバー、ヘッドライトバイザー、専用シートなどが装備され、スタイリッシュな印象を与えます。2024年モデルではシルバーと濃いブルーの2色が用意されています。
W175 TR: オフロード走行も可能なデュアルパーパスモデル。オフロードスタイルのフロントフェンダー、流線型の燃料タンク、高い最低地上高、金属製アンダーガードなど、悪路走破性を高める装備が充実しています。燃料タンク容量は7.5Lと、他のモデルより小さくなっています。
W175 L: インド市場向けに開発されたモデルで、インジェクションシステムとABSを装備。EURO5排出ガス規制にも適合しています。インドネシアにも逆輸入され、2025年モデルに追加されました。特徴的な「KAWASAKI」プレートも備えています。

すべてのモデルで、ティアドロップ型の燃料タンク（W175 TRを除く）やH4 60/55ハロゲンヘッドライト、クリアマルチリフレクターなど、共通のデザイン要素が見られます。ウインカーランプやサイドミラーは、KLX150と共通のパーツを使用しています。

メカニズムと性能

W175のエンジンは、単気筒空冷エンジンです。リジッドマウントを採用しながらも、クランクシャフトの前方にバランサーシャフトを配置することで、振動を最小限に抑えています。低中速域でのトルク特性を重視した設計となっており、街乗りなどでの扱いやすさが魅力です。

インドネシアやベトナム仕様はミクニ製VM24キャブレターを採用。インド仕様はインジェクションシステムとABSを装備し、環境規制に対応しています。リヤサスペンションは5段階のプリロード調整機構付きです。フロントブレーキは、キャブレター仕様が220mmディスク、インジェクション仕様が270mmディスクとなります。

キックスターターは省略され、セルスターターのみとなっています。タコメーターや燃料計は装備されていません。また、センタースタンドも省略されています。

ジャーナリストによるテストでは、最高速度110.1km/h、0-100km/h加速16.3秒という結果が得られています。

まとめ

カワサキW175は、レトロなデザインと扱いやすいエンジン、そして多様なバリエーションが魅力の単気筒バイクです。東南アジアを中心に世界中で人気を博しており、それぞれの地域のニーズに合わせた仕様も展開されています。シンプルながらも高い完成度を誇るW175は、長く愛される一台となるでしょう。

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