カワサキ・ZRX

カワサキZRXシリーズ：伝統と革新の融合

カワサキ重工業が1994年から2016年まで製造したオートバイシリーズ、ZRX。ゼファーシリーズとは異なる、走りを重視した設計が特徴です。400ccから1200ccまでの様々な排気量モデルがラインナップされ、ネイキッドモデルとカウル付きモデルが存在しました。

ZRX/ZRX-II (400cc)：伝説の始まり

1994年2月、ZRXは水冷400ccネイキッドとしてデビュー。Z1000Rローソンレプリカを彷彿とさせるビキニカウルを備えたスタイリッシュなデザインと、力強いエンジン、そして大柄な車体が人気を博しました。翌年には、よりシンプルなデザインのカウル無しモデル、ZRX-IIが登場。両モデルは基本的なプラットフォームを共有しており、細部の差異はあっても、高い走行性能を誇りました。生産終了まで600ccモデルの発売には至りませんでしたが、ZZR400エンジンをベースとした設計は、将来的な排気量アップの可能性を示唆していました。1998年にはマフラーが変更され、2004年には限定車も発売。2008年の排出ガス規制強化により生産終了となりました。

ZRX1100/ZRX1100-II (1100cc)：リッタークラスへの挑戦

1996年12月、待望のリッタークラスモデル、ZRX1100が発売。ZZR1100/GPZ1100のエンジンをベースに、中低速域のトルクを重視したチューニングが施され、扱いやすいリッターネイキッドとして高い評価を得ました。カウル無しのZRX1100-IIも同時に発売され、400ccモデルと同様、細部の差異はあるものの共通のプラットフォームが採用されました。2001年、ZRX1200へのフルモデルチェンジまで販売されました。

ZRX1200R/ZRX1200S (1200cc)：進化を続ける力強さ

2001年、ZRX1100の後継として登場したZRX1200R。排気量を1164ccに拡大し、さらにパワーアップ。フレームとスイングアームの改良により、走行性能が向上しました。2004年と2006年には、カワサキ正規代理店のARKより限定車も発売。ハーフカウル仕様のZRX1200Sも当初はラインナップされていましたが、輸出終了を機に生産終了となりました。ZRX1200Rも、2008年の排出ガス規制強化により生産終了となりました。

ZRX1200 DAEG (1200cc)：新たな時代の幕開け

2009年2月、ZRX1200Rの後継として、ZRX1200 DAEGが登場。排出ガス規制に対応したモデルとして、ZX-10R由来のフューエルインジェクションシステムや6速トランスミッションなどを採用。最高出力は110PSに向上し、力強い走りを提供しました。日本市場に特化したモデルとして開発され、輸出は行われませんでした。デザインも一新され、現代的な要素を取り入れつつ、伝統的なZRXシリーズのデザインを継承。2016年の排出ガス規制強化により、ファイナルエディションが発売され、22年の歴史に幕を閉じました。DAEGという名称は、古代ゲルマン語のルーン文字に由来し、「着実な成長」や「進歩」といった意味を持つとされています。

まとめ

ZRXシリーズは、長きに渡りカワサキを代表する人気モデルとして君臨しました。様々な排気量や仕様のモデルが登場し、時代とともに進化を遂げました。そのスタイリッシュなデザインと、力強いエンジン、そして高い走行性能は、多くのライダーを魅了し続けました。2016年の生産終了後も、多くのファンに愛され続けるZRXシリーズは、オートバイの歴史に確固たる足跡を残しました。

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