カワセミ科

カワセミ科とは

カワセミ科（Alcedinidae）は、ブッポウソウ目に分類される鳥のグループで、一般的にカワセミと呼ばれる鳥たちを含みます。カワセミという名前は、狭義にはAlcedo atthisという種を指しますが、広義にはカワセミ科全体を指す言葉として使われます。また、大型のカワセミをショウビンと呼ぶこともありますが、これはカワセミの別名としても用いられることがあります。

分布

カワセミ科の鳥は、アフリカ、オーストラリア、ユーラシアなど、世界中の熱帯から温帯にかけて広く分布しています。その起源はオーストラリアか東南アジアの熱帯雨林と考えられています。

形態

カワセミ科の鳥は、一般的に頭部が大きく、首が短いという特徴があります。また、胴体はがっしりとしており、足は短い傾向にあります。足の指は、第2趾と第3趾が部分的に癒合している合趾足であり、中には第4趾が退化している種もいます。

生態

カワセミ科の鳥は、森林、草原、水辺など、さまざまな環境に生息しています。多くは単独またはペアで生活し、縄張りを作ります。渡りをしない種が多いのも特徴です。

食性は動物食で、魚類、両生類、爬虫類、昆虫など、幅広い獲物を捕食します。もともとは地表の昆虫を捕食していましたが、進化の過程で食性が多様化し、水中の獲物を狙う種も現れました。これらの種は、樹上から、またはホバリングしながら水面を監視し、獲物を発見すると急降下して潜水して捕獲します。

巣は、地中に掘った穴やシロアリの巣、樹洞などを利用します。

分類と系統

カワセミ科は、ハチクイモドキ科と近縁であることが知られています。カワセミ科は、3つの亜科に分類されますが、これらの亜科間の系統関係はまだ不明確な部分が多く残っています。有力な説としては、カワセミ亜科が最初に分岐したというものがありますが、ヤマセミ亜科が最初に分岐したとする研究もあり、結論が出ていません。

カワセミ科の亜科

ショウビン亜科 (Halcyoninae)：別名ヤマカワセミ亜科、またはワライカワセミ亜科とも呼ばれます。英語ではTree Kingfishersと呼ばれます。
カワセミ亜科 (Alcedininae)：英語ではRiver Kingfishersと呼ばれます。
ヤマセミ亜科 (Cerylinae)：英語ではWater Kingfishersと呼ばれます。

過去には、カワセミ科の3亜科をそれぞれ科として独立させる説も提唱されました。しかし、現在では3亜科に分類する説が有力です。

属

カワセミ科は、国際鳥類学会議（IOC）によって19属95種に分類されています（Version 2.6 Draft）。日本には6種のカワセミ科の鳥が生息しています。

カワセミ科の属

ショウビン亜科
Actenoides
カギハシショウビン属 Melidora
カザリショウビン属 Lacedo
ラケットカワセミ属 Tanysiptera
アオミミショウビン属 Cittura
ハシブトカワセミ属 Clytoceyx
ワライカワセミ属 Dacelo
コシジロショウビン属 Caridonax
コウハシショウビン属 Pelargopsis
ヤマショウビン属 Halcyon (アカショウビン、アオショウビン、ヤマショウビン、†ミヤコショウビン)
Todiramphus (ナンヨウショウビン)
キバシショウビン属 Syma
カワセミ亜科
ヒメショウビン属 Ispidina
Corythornis
ミツユビカワセミ属 Ceyx
カワセミ属 Alcedo (ルリカワセミ、カワセミ)
ヤマセミ亜科
ミドリヤマセミ属 Chloroceryle
ヤマセミ属 Megaceryle (ヤマセミ)
* ヒメヤマセミ属 Ceryle

人間との関係

カワセミ科の鳥は、美しい姿や独特な生態から、人々に親しまれてきました。しかし、近年では、開発による生息地の破壊、水質汚染、狩猟などによって、生息数が減少している種もいます。これらの鳥を守るためには、環境保全への意識を高めることが重要です。

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